• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

地球温暖化による大雨の頻度・強度変化の機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K03670
研究機関気象庁気象研究所

研究代表者

水田 亮  気象庁気象研究所, 気候・環境研究部, 主任研究官 (80589862)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード地球温暖化 / 高解像度気候モデル / 極端降水
研究実績の概要

本研究では、大雨の頻度や強度が地球温暖化に伴ってどの程度変化するかについて、変化を量的に規定しているのはどのようなプロセスであるかを解明することを目的としている。当該年度においては、研究代表者のグループで実施した、水平解像度20kmと60kmで20世紀中頃から21世紀末までの150年間の連続シミュレーション結果について解析を行った。とくに熱帯アメリカとパナマにおける極端降水量の将来変化を調べた。熱帯アメリカは季節平均降水量は減少しているが、年間最大日降水量は増加傾向にある特徴的な地域である。シミュレーションされた将来の気候では、パナマ東部で12月~2月の降水量が増加し、太平洋沿岸に近い西部で6月~8月の降水量が減少した。年間最大日降水量はパナマ東部で増加した。熱帯アメリカの年平均最大日降水量は10年周期で変動し、全球平均と類似しているが、その振幅は小さかった。パナマの日降水量の年平均最大値は、10年平均でも大きな変動を示した。熱帯アメリカでは、日降水量の年平均最大値は、代表的な濃度経路シナリオに依存しない地表面気温との線形関係を持つが、パナマではそのような関係が見られなかった。過去のシミュレーションでは、熱帯アメリカの年平均日最大降水量と年平均地表面気温の時間相関は、エルニーニョ/南方振動の負偏差時の海面水温偏差と類似した地理的分布を示したが、将来のシミュレーションではそうではなかった。パナマの年平均日降水量と地表面水温の相関は、過去の実験でも将来の実験でも、熱帯域の年平均日降水量と地表面水温の相関に類似した分布を示した。このことから、パナマの年最大日降水量は、過去の気候で観測されたように、将来、負のエルニーニョ現象発生時に増加すると予測されることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初は高解像度気候モデル相互比較プロジェクトの下で世界各機関が行った全球の高解像度予測モデル実験結果を中心的に用いる計画だったが、研究代表者のグループで実施しているシミュレーション結果を組み合わせ、季節や地域、大雨をもたらす現象による差異についても考慮した解析を行っている。

今後の研究の推進方策

水蒸気量増加を超えて大雨の強度が増加する場合のプロセスの評価について、
世界各機関が行った全球の高解像度予測モデル実験結果のモデル間の差異や、温暖化の進行程度による変化の差異についても考慮しながら解析をすすめる。

次年度使用額が生じた理由

参加した研究集会・研究打ち合わせの多くがオンライン実施となり、旅費の使用が計画より少なかった。翌年度以降の研究集会参加・研究打ち合わせを追加して使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Future projections of extreme precipitation in Tropical America and Panama under global warming based on 150‐year continuous simulations using 20‐km and 60‐km atmospheric general circulation models2023

    • 著者名/発表者名
      Nakaegawa Tosiyuki、Mizuta Ryo
    • 雑誌名

      International Journal of Climatology

      巻: 43 ページ: 7218~7233

    • DOI

      10.1002/joc.8261

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Projected Change in Extreme Precipitation due to Global Warming in a Large Ensemble Climate Simulation2023

    • 著者名/発表者名
      MIZUTA Ryo
    • 雑誌名

      JAPANESE JOURNAL OF MULTIPHASE FLOW

      巻: 37 ページ: 368~375

    • DOI

      10.3811/jjmf.2023.T012

  • [学会発表] Next generation of high-resolution large ensemble simulation2023

    • 著者名/発表者名
      Mizuta, R.
    • 学会等名
      2023 TCCIP International Workshop on Climate Change
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi