研究課題/領域番号 |
21K03679
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大矢 浩代 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (00241943)
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研究分担者 |
鷹野 敏明 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 名誉教授 (40183058)
高橋 幸弘 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50236329)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大気電場 / 雲レーダー / グローバルサーキット / 気象 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、本研究グループが開発した世界最高クラスの空間分解能(300 m 高度で1 m、15 km 高度で 47 m)を有するWバンド雲レーダFALCON-Ⅰと、大気電場観測ネットワークを組み回せた観測システムを構築することで、グローバルサーキットの気象現象への影響を評価するための基礎的な知見を得ることを目的としている。その目的遂行のため、2021年度は、流通経済大学(茨城県龍ヶ崎市)および東北大学(宮城県仙台市)の2か所に、大気電場計を新規設置した。千葉大学(千葉県千葉市)での大気電場観測は、2016年6月から行っており、これで3か所への設置を完了した。また、2台の全天カメラを用いた雲底高度推定法と、雲画像からRGB値を使用した雲量推定法を提案し、それらの自動推定プログラムを開発した。これにより、統計的に雲パラメータと大気電場との比較が行えるようになった。 さらに、グローバルサーキットと気象現象との関連性を明らかにするため、Wバンド雲レーダFALCON-Iを用いて、千葉における地上大気電場と、雨、雷雨および雪の気象現象との比較を行った。その結果、降雨については、雲による長周期の極性の大気電場変動および雨粒落下による数十秒の速い変動が見られた。雨粒(負電荷) 落下により、大気電場は負(電場は上向き)となった。雷雨については、雲による大気電場の極性の変化および雷による1-2分程度のパルス状の変動が見られた。雷雲のアンビル(雲のトップ)は上昇流があり、その対流セルが大気電場に影響を与えている可能性がある。降雪については、数十分周期の大気電場振動があり、雪雲内部の構造が振動の原因となっていると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・2021年度は、流通経済大学(茨城県龍ヶ崎市)および東北大学(宮城県仙台市)の2か所に、大気電場計を新規設置し、千葉大学の既存の観測点の自動定常観測を維持・継続している。 ・千葉大学における大気電場と雲レーダFALCON-Iとの同時観測データの解析を進めることもできている。 ・これらの地上同時観測から、降雨、雷雨、降雪時の数多くの研究成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
・今後は、北海道陸別および福島県飯舘に、大気電場計を新規に設置し、大気電場観測ネットワークを構築する。 ・本研究では5か所の観測点からデータを取得している。これらの観測データは世界の研究者に公開し、データ利用の促進と成果の創出をはかっていく。 ・本研究の成果は、科学論文として発表していくだけでなく、さまざまな形で社会へ発信していくことが重要である。このために、出前授業や、大学院生・若手研究者向けの国際スクールなどを実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に、ほぼ予定通り執行したが、端数の88円が残ってしまった。2022年度は引き続き、大気電場観測装置の新規設置を行い、未使用額はその経費に充てることとする。
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