研究課題/領域番号 |
21K03684
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
田口 幸洋 福岡大学, 公私立大学の部局等, 研究特任教授 (00108771)
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研究分担者 |
米津 幸太郎 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90552208)
三好 雅也 福岡大学, 理学部, 教授 (50557353)
奥野 充 福岡大学, 理学部, 教授 (50309887)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大屯火山 / 火山形成史 / 年代測定 / 形成過程 / マグマ供給システム / 地熱活動 / 熱水変質 / 対比研究 |
研究実績の概要 |
米津及び田口は、研究代表者(田口)が以前採取していた台湾の大屯火山で掘削された坑井のコア(2本)の変質作用の検討を行い、さらに明礬石等の硫黄同位体比を測定した。地表に地熱兆候が見られない地域の地下の酸性変質帯の明礬石の硫黄の起源は深成起源であることが分かった。また、九重火山地域の縁辺部で最近地熱兆候が活発化した野矢地域の変質帯調査や温泉採取を行い、それらの原因を検討した。その成果は大屯火山においても縁辺部に中性の熱水活動の名残がないかの検討に用いることができる。 奥野は南九州での大規模火砕流噴火である入戸火砕流中の炭化樹幹の年輪試料から14C年代測定を行い,ウイグルマッチング法から精密年代決定を試みた.この成果は、次年度以降に大屯火山群でも同様の年代測定を実施するなどして琉球弧から台湾にかけて時空変遷を精密化するのに用いることができる。 三好は九重火山群の活動史において最大規模の噴火である飯田火砕流を対象として,そのマグマ供給システムについて調べた.飯田火砕流堆積物から本質物質(スコリア・軽石・縞状軽石)を複数採取し,偏光顕微鏡を用いた岩石記載および蛍光X線分析装置を用いた主成分・微量元素組成分析を行った.これらの記載・分析結果から,飯田火砕流の噴火の前には苦鉄質マグマと珪長質マグマの混合が生じていた可能性があることが示された.次年度以降に大屯火山群でも同様の分析を行いマグマ供給システムを明らかにすることを目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で大屯火山の現地調査ができないなかで、大屯火山の対比地となる九州の火山の形成過程、噴火史、および熱水活動についての調査・研究をおこない、それなりの結果が得られており、これらの今後の現地調査を行う際に有用なデータである。また、以前採取していた大屯火山に掘削された坑井のコアについての熱水変質作用の成果も得られつつあり、現地調査が行えるようになっれば、これらの成果はすぐにでも有用に活用され、調査も順調にすすめることができる。このような理由から、コロナ禍で現地調査ができない中ではおおむね順調に研究は進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
日台双方ともコロナのワクチン接種も浸透してきており、台湾ではこの3月に入国制限に関する緩和措置がとられており、今年度内には現地調査ができる可能性があると考えられる。それまでの間は、昨年度の研究を継続し琉球弧北部地域の火山の形成史、形成プロセス、地熱活動などの特徴を明らかにする調査研究を継続することが肝要と思われる。 また、大屯火山に関する現地協力者との意見交換を密にし、現地調査の準備を入念に進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で台湾の大屯火山の現地調査ができなかったことが大きな原因で、2022年度は2022年3月に一部入国緩和策がおこなわれたりしているので現地調査が行えるものとして経費を計上している。試料採取等が行えればそれに対する分析、実験経費等も派生するので計上した。
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