研究実績の概要 |
岩石摩擦特性のスケール依存性を調査する目的で,メートルスケールでおこなわれたガウジ摩擦実験(山下他, 2020, 地震学会; 下田他, 2020, 地震学会)と同等の条件でセンチメートルスケールの実験を実施した.模擬ガウジとしてジェットミルにより粉砕した変はんれい岩の粉末粒子(平均粒径12 μm,最大粒径75 μm)を用い,加圧前のガウジ層圧を3 mmとした.実験は電力中央研究所が所有する二軸摩擦試験機(Mizoguchi et al., 2021, EPS)により実施した.模擬断層面は長さ10 cm,幅5 cmである.実験中の垂直応力はメートルスケール実験と同様に3.4 MPaもしくは6.7 MPaの一定に保った.10分間加圧をした後,10 μm/sで4 mm変位させ,0.1-1.0-10.0-100.0 μm/sの速度ステップを3セット与えた.速度ステップに応じた摩擦係数の変化が速度-状態依存摩擦則(以下RSF則)に従うと仮定し,各パラメタの推定をおこなった.摩擦データへのフィッティングにはSkarbek and Savage (2019, Geosphere)によるプログラムを利用した.推定したRSF則パラメタのa-b及びDcは,ともに弱い累積変位依存性及び載荷速度依存性を示したが,a-bの値はメートルスケールにおける推定値と調和的であった.Dcは数~10 μm程度であり,模擬ガウジの平均粒径が12 μmであることと調和的である.一方,下田他(2020,地震学会)がメートルスケール実験のデータを解析し推定したDcは最大で100 μmを越えており,今回推定したDcに比べ大きい傾向にあることが明らかとなった.
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