初期地球磁場の生成過程を3次元の数値ダイナモシミュレーションを用いて調査した。底部マグマオーシャンの厚さと核半径は大きく異なり、核内部からの磁気エネルギー供給がマグマオーシャンダイナモの成立に重要であると考えられている。特に、差分回転によるオメガ効果が核内部の強いトロイダル磁場の生成過程として有望であり、核内で生成される磁場の形態と強さはマグマオーシャンダイナモに大きな影響をもつと期待される。本研究では核のダイナモが双極子的対称性を持つ解と四重極子的対称性を持つ解の発生条件および、その生成維持過程をキネマティックダイナモ問題およびMHDダイナモ問題の二種類を解くことによって調査した。底部からの浮力によって対流が駆動されるモデルを用いて、速度場、磁場の対称性、反対称性を強制し、対称性間の相互作用を制限する場合と制限を課さない場合に対してMHDダイナモ計算を実施し、それぞれの結果を比較した。空間スペクトルの比較から、対称性の制限有と制限無の結果間には速度場および生成される磁場の構造に有意な差が見られた。最も大きな違いが得られた場合では、制限有の場合には双極子型磁場が得られたのに対して、制限無の場合には半球型の特異な磁場が得られ、対称性間の非線型相互作用が磁場の形態の決定、速度場へのフィードバックに関して重要な役割を果たしていることが明らかになった。本研究から初期の地球磁場の形態が非双極子的なものであった可能性があることが示唆される。
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