本研究によって、かつて海洋地殻を構成した玄武岩物質が,マントル深部の対流中で撹拌された後に混合され、太平洋のサモアホットスポットに向けてマントル最深部から上昇する流れ(マントル・プルーム)に取り込まれる過程に関する観測的制約が与えられた。また対流する太平洋下の上部マントル遷移層内に、このような海洋地殻物質によって構成されたkmスケールの不均質構造が広く分布していることも明らかになった。これらの成果によって、火山岩の地球化学的分析によるマントル不均質像と、対流のダイナミクス・モデルを統一的に理解するための道筋が開けた。
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