研究課題/領域番号 |
21K03745
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青柳 吉輝 東北大学, 工学研究科, 准教授 (70433737)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 材料特性予測 / 微視的ゆらぎ / 極値統計解析 |
研究実績の概要 |
あらゆる構造用材料の内部に潜む不均質性,すなわち微視的組織の「ゆらぎ」に注目し,古典的塑性論に頼った構造解析の現状を打破する.材料が微視的「ゆらぎ」を有するが故に,ナノ・マイクロスケールの数値シミュレーションでは材料の巨視的機械的特性を未だに再現出来ていない.本研究では,微視的構造を模擬した変形シミュレーションの結果に基づいて,構造用材料の巨視的機械的特性にも発現する「ゆらぎ」を統計学的に予測する. 本年度は,まず,結晶粒数が少ない複数の解析モデルに異なる結晶方位分布を与えた場合の個々の解析結果における分布広がりについて,解析結果を統計的に処理し,力学的応答の代表値を求めることを試みた.その結果,結晶粒数および与える結晶方位の組合せが異なる解析モデルを用いたシミュレーションで求まった機械的特性の値のばらつきは,結晶粒数が多いほど低減されることが確認された.結晶粒数が異なる場合であっても,極値統計解析を行って得られる機械的特性の代表値は同じであった.また,同一の計算を実行する際に同じ計算機を使用し計算機を最も効率よく使用した場合に,計算終了までにかかる時間は,結晶粒数が少ない解析モデルを多数個使用した場合の方が短くなった.多数個の解析結果を極値統計処理すれば,計算時間で有利な結晶粒数の少ない解析モデルから機械的特性の代表値を定めることができる. 一方,結晶性ポリマの球晶組織が力学応答に与える影響を調査するために,圧縮試験および球晶組織モデルを用いた力学応答シミュレーションを行った.その結果,非晶相および結晶相のモデルを用いて球晶組織を模擬した解析では降伏付近までの球晶の力学挙動を表現することができた.本解析における球晶組織の力学挙動は降伏付近までは結晶相の影響が支配的であり,その後の硬化挙動は非晶相の影響が支配的であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,多結晶金属及び結晶性高分子材料の微視的組織の観察結果に基づいてシミュレーションを行い,巨視的な材料特性を予測することに成功した.また,極値統計解析による材料特性評価が可能となり,順調に微視的組織に基づく巨視的材料特性予測を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
次年度からは不均質材料として,多結晶金属材料,結晶性高分子材料に加え,炭素繊維強化熱可塑性高分子材料,複相鋼材を対象とする.当初は多孔質材料を予定していたが,よりニーズの高い複相鋼材をターゲットとする.それぞれの材料に対して,(i) 試料作成・微視的組織観察,(ii) ゆらぎを考慮した微視的組織を再現するシミュレーションモデルの作成,(iii) 微視的組織情報に基づくマルチスケールシミュレーション,(iv) 解析結果の統計学的処理による機械的特性の巨視的ゆらぎの再構築,(v) 巨視的構造解析を行い,不均質材料の変形挙動を高精度に再現するCAEシステムを創成する.また,本システムの妥当性を検証するために,(i)から(iii)に対応して金属材料および高分子材料に対してナノインデンテーション試験を行い,微視的機械的特性と巨視的機械的特性の関係についても把握する.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で予定していた出張等が中止になったため.材料変更に伴う試料等の購入に使用する.
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