研究課題/領域番号 |
21K03768
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山崎 泰広 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70291755)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遮熱コーティング / 微粒子溶射 / 組織構造制御 / 熱応力緩和 / 遮熱特性 |
研究実績の概要 |
耐熱構造材料では,熱伝導率の低減が内部熱応力を上昇させて損傷の加速や寿命低下を引き起こすため“高い熱伝導率”により“熱応力を抑制”することが善とされてきた.しかし,先進ガスタービンで不可欠となっている遮熱コーティングにおいては,低熱伝導率と内部熱応力の抑制の両立が求められる.本研究では,従来トレードオフの関係にある低熱伝導率化と内部熱応力の抑制の両立が可能かという命題に対して,遮熱コーティングを事例として取り上げ,新規開発した遮熱コーティングの遮熱性・耐久性を検討した. 具体的には,YSZより低熱伝導率性を有するYbTa3O9を遮熱層とし,中間層としてHf6Ta2O17を用いたTBCについて検討した.そして,微粒子溶射法を適用することにより柱状組織を有する遮熱層を製膜することが可能であることを確認した. 一方,成膜した新規遮熱コーティング(Yb/Hf材と呼ぶ)の耐熱サイクル性を評価したところ,従来TBCに比して剥離抵抗が大きく低下することが明らかとなった.これは中間層である Hf6Ta2O17層の熱応力緩和が不十分で,界面に過大な熱応力が生じたことが原因と考えられた. 現在,熱応力緩和機能を十分に発現し得る組織として,遮熱層はYbTa3O9のままとして中間層に柱状YSZ層を有する遮熱コーティング(Yb/YSZ材と呼ぶ)を準備し,耐熱サイクル性を検討し始めている.現状では,Yb/YSZ材はYb/Hf材に比べて耐熱サイクル性に優れ,従来TBCを凌駕する可能性が認められている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のように,当初予定していたYb/Hf材の耐熱サイクル性が従来TBCに比して劣っていた. そこで,現在,熱応力緩和機能を十分に発現し得る組織として,遮熱層はYbTa3O9のままとして中間層に柱状YSZ層を有する遮熱コーティング(Yb/YSZ材と呼ぶ)を準備し,耐熱サイクル性を検討し始めている.
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今後の研究の推進方策 |
熱応力緩和機能を十分に発現し得る組織として遮熱層はYbTa3O9のままとして中間層に柱状YSZ層を有する遮熱コーティング(Yb/YSZ材と呼ぶ)について,耐熱サイクル性をさらに検討するとともに,熱伝導性の検証も行っていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で出張旅費の使用が少なかったことから,残額が生じた. 一方で,当初計画した供試コーティングの耐熱サイクル性が芳しくなかったことから,新たなコーティングを準備した.次年度以降,新規コーティングの組織分析を行う上で,準備に用いる研磨消耗品の支出が増加することが予想され,本年度の残額はその費用に充てる予定である.
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