本研究では,超々ジュラルミン(A7075)のようなアルミニウム(Al)合金の中でも自身の変形能の悪さや軟化を生じやすいことから溶接が難しい難接合材料を用いた異材継手を摩擦圧接法により接合し,接合部から破断しないという良好な継手を得ることができる低入熱同時摩擦接合技術を確立・提案することを目的としている.今年度も昨年度に引き続き直接合が極めて難しいA7075と鉄鋼材料との組み合わせを取り上げ,両材料に対して比較的接合性の良い純Tiをインサート材として選択し,同時接合を行った際の接合条件とインサート材厚さに関する検討を中心に行った. 昨年度の研究結果を受け,純Ti側の接合端部直径10mmに対してA7075のそれを12mmとし,摩擦速度27.5s-1,摩擦圧力90MPa,摩擦時間0.7sの一定でアプセット圧力を種々変化させて検討を行った.その結果,360MPa以上のアプセット圧力で軟鋼母材の降伏応力を超えるような引張強さを有する継手が作製可能であることが分かった.しかし,純TiとS15CKとの間からより多くのバリを排出させる必要があり,インサート材の軟鋼側の張出長を長くするためにそれを厚くして接合した結果,継手強度が低下する傾向となった.これより,軟鋼母材から破断する継手を得るためには,純Tiのインサート材厚さもパラメータとして検討する必要があることが分かった. 一方,摩擦圧接では接合端部の直径が変化すると同じ接合条件で溶接しても同様な結果が得られないため,接合端部直径が異なる際には接合条件をどのように選定すれば良いかの検討した.AC8AとA6061との中空材形状同士を対象として検討を行った結果,接合端部直径と接合条件とには関係性があり,接合条件の選定指針を示すことができた. 以上,マルチマテリアル化に資する難接合材を用いた同時接合手法や接合条件の選定指針を示すことができた.
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