研究課題/領域番号 |
21K03779
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
小武内 清貴 同志社大学, 理工学部, 准教授 (30614367)
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研究分担者 |
大窪 和也 同志社大学, 理工学部, 教授 (60319465)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 複合材料 / 耐衝撃性 / 界面せん断強度 / サブミクロン繊維 |
研究実績の概要 |
本年度は,落錘型衝撃試験機を用い,一方向複合材料の面外衝撃損傷形態,ならびに,衝撃後圧縮強度(CAI)強度の評価手法を確立した.確立した評価手法を用い,一方向炭素繊維/エポキシ樹脂系複合材料の衝撃エネルギ吸収能,面外衝撃による内部損傷形態,CAI強度を湯往査した.試験片の強化繊維に対し,直行する2辺を拘束固定し,落錘による面外衝撃を試験片に与えたところ,母材エポキシ樹脂をサブミクロンガラス繊維の添加によって改質した場合,低負荷衝撃エネルギの条件において,エネルギ吸収能,内部損傷の投影面積,CAI強度の向上が認められた.また試験片の4辺を拘束固定した場合,高負荷衝撃エネルギの条件において,各種特性の向上が認められ,試験片の拘束条件によって,サブミクロンガラス繊維の添加による改善効果の発現に負荷衝撃エネルギ依存性があることが分かった.また,昨年度までに構築した引張型SHPB試験装置を用い,複合材料の層間せん断強度の負荷ひずみ速度依存性,ならびに,強化繊維角度依存性を調査した.その結果,本研究課題で用いたサブミクロンガラス繊維添加による母材改質によって複合材料の層間せん断強度は向上し,その改善効果は,強化繊維と負荷荷重方向とが平行となる条件において大きくなることが分かった.また,昨年度に調査を行った,強化繊維-母材樹脂間の界面せん断強度の負荷ひずみ速度依存性について,動的陽解法を用いた数値解析を行ったところ,強化繊維と母材樹脂との接着が不十分な条件において,破断後の強化繊維に,過度の圧縮応力が生じることが分かった.以上より,高ひずみ速度条件下における強化繊維-母材樹脂間の見掛けの界面せん断強度は,強化繊維-母材樹脂間の界面せん断強度だけでなく,強化繊維の破断によって生じる圧縮応力波の影響を受けることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は主に,複合材料の面外落錘衝撃による損傷課程ならびに損傷後強度に与えるサブミクロン繊維添加の効果を実験的に明らかにすると共に,昨年度,実験的に明らかにした強化繊維-母材樹脂間の見掛けの界面せん断強度の負荷ひずみ速度依存性について,数値解析を用いた理論的な考察を深めた. 以上より,おおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに,異なる負荷ひずみ速度において,複合材料のミクロな特性(強化繊維-母材樹脂間の見掛けの界面せん断強度)からマクロな特性(曲げ強度,面外荷重による損傷)までを調査した.これらを踏まえ,本年度(最終年度)は,ミクロな特性からマクロな特性を説明するモデルの構築に挑戦すると共に,母材樹脂の改質によって,ミクロな特性が変化する原理を明らかにすることを予定している.また,材料のき裂に対する抵抗を示す値である破壊じん性についても,異なる負荷ひずみ速度条件下での評価を行うことを予定している.
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