研究課題/領域番号 |
21K03785
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上島 伸文 東北大学, 工学研究科, 助教 (10733131)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 流動応力 / 高ひずみ域 |
研究実績の概要 |
令和3年度は590MPa級の高張力鋼と工業用純アルミニウムの円柱状圧縮試験を非単調負荷条件で行うとともに、より均一に高ひずみ域まで圧縮できると期待されるチャネルダイを用いた平面ひずみ圧縮試験に取り組んだ。 円柱状圧縮試験によって高ひずみ域の測定を行った結果、非単調負荷条件でも単調負荷条件とほぼ同様の流動応力となった。変位保持時の応力緩和挙動を調べたところ、引張と同等の応力レベルであっても、圧縮の場合の緩和量が引張の5分の1程度であり、緩和量が少ないことが流動応力に差が見られなかったことの原因と思われる。潤滑剤を塗布しない円柱状圧縮試験では応力・ひずみが不均一であることが知られており、この影響を除外する必要があると考えられる。 チャネルダイ圧縮試験を行い、平面ひずみ圧縮条件での圧縮試験の可能性を検討した。金型・試験片形状、潤滑条件等を検討し、真ひずみ0.7程度まで均一に平面ひずみ圧縮できる条件を明らかにした。また、引張試験との比較により精度の検証を行ったところ、低ひずみ側ではチャネルダイ圧縮試験により得られた流動応力は引張試験とほぼ同じとなっていた。 これらの成果は、非単調負荷時の高ひずみ域の流動応力を調査する為の条件を設定する上で重要であり、今後より高ひずみ域の調査を行う上で役立つ。また、高ひずみ域データが得られれば、今後流動応力のモデル化を行い、モデルの検証とモデルを用いた加工条件の設計への展開を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は円柱状圧縮試験を用いても、負荷方法によってある程度流動応力に変化が生じ、モデルの検討が可能となると予期していたが、実際にはほとんど変化せず、モデルの検討ができなかった点が少し遅れている。しかしながら、円柱状圧縮試験は実施でき、チャネルダイ圧縮試験条件はほぼ明らかとなっており、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画通り進める予定であるが、負荷方法による違いか見られなかった場合には、高ひずみ域での割れの予測に研究の重点を移すなどの対応策を考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
金型作製に学内の工場を使用でき、大幅に安く作製できたため次年度使用額が生じた。 繰り越し分は、より摩擦の影響が少なく、高ひずみ域まで測定できる金型を製作する為に使用する予定である。
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