旋削工具刃先の各所の工具摩耗の発達状況は,AI技術を使えば,生成直後の切りくず裏面の温度分布を計測するだけで同時に推定できる可能性があることが分かった.なお,本研究は全て乾式で実施したが,MQL程度で,大きな水溜まりや水滴等が発生しない状況であればサーモグラフィーカメラで切りくず裏面の温度分布は計測できる.AIの推定精度をより向上させれば,ヒートマップ等の分析により,各種の工具摩耗が切りくず裏面の何処の温度分布にどの様に影響を与えているのかをより明らかにすることができ,得られる知見は,摩耗がある工具での工具刃先近傍の被削材材料の変形場を知る一助となり,より詳細な切削機構の解明に繋がると考える.
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