まずは,三角測量式光学センサの測定原理を模した実験的モデルを構築した.基本的な構成として,測定表面を再現したミラーにレーザーを照射し,その反射光をCCDカメラで受光した.レーザーとミラーの間の距離の変化が測定表面の変位に,ミラーの傾きの変化が測定表面の傾きに相当する.ミラーの変位や傾きが変化することにより,CCDカメラ上での受光位置が変化し,測定値が変化する.ミラーの変位と傾きは,ミラーを精密変位テーブルと回転テーブル上に載せることにより再現した. 次に,測定表面を再現したミラーの変位や傾きにより生じる測定値の変化を観察し,構築した実験装置の構成の妥当性を検証した.検証方法として,三角測量式光学センサにより非球面レンズの表面形状を測定することで過去に実験的に得た,測定表面の変位や傾きの変化に対する測定値の変化の傾向や,昨年度作成した三角測量式光学センサの測定原理を再現した数値解析モデルにより算出した,測定表面の傾きにより生じる測定値の偏差の傾向と比較した.その結果,構築した実験装置により構築した測定表面の変位や傾きの変化に対する測定値の変化は,これまでの実験・解析結果と同様の傾向を示し,実験装置の構成の妥当性を確認できた. しかしながら,前述の構築した実験装置による測定結果は,変位テーブルや回転テーブルの位置決め精度や繰り返し精度による不確かさが大きく,さらにレーザーやCCDカメラとミラーの間の距離が長いことにより,実際のウェーハ形状測定に求められる精度や分解能を満足していないことがわかった.そこで,変位テーブルや回転テーブルにより生じる不確かさを見積もることをはじめとした,実験装置についての不確かさ解析を行った.さらには,実験装置構成要素の配置位置を調整することによる分解能の向上も検証した.
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