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2021 年度 実施状況報告書

固相接合メカニズムを応用した金属積層技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K03802
研究機関埼玉大学

研究代表者

阿部 壮志  埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60756469)

研究分担者 金子 順一  埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80375584)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードアディティブ・マニュファクチャリング / 金属接合 / 通電加熱
研究実績の概要

本研究では高能率・高精度かつ,様々な異種金属材料を用いた積層が可能な,新たな付加加工(アディティブ・マニュファクチャリング)技術を提案する.提案方法ではワイヤ材料を通電加熱により加熱し,加圧ローラで母材に押し付ける.これによりワイヤと母材を接合させ,金属材料を直接積層する.
当該年度は提案方法を実証する実験装置を設計・製作した.実験装置は母材を設置したステージが上昇する機構を有する.上昇するステージと上部に設置した加圧ローラによって母材とワイヤ材料を挟み込み,母材とワイヤ界面に圧力を発生させる.ワイヤ材料および母材はステージの自動送り機構により,ローラと相対運動させる.通電加熱のための回路はローラ-母材間とワイヤ-母材間の2種類の接続方法を設定可能にし,実験により検討した.結果として,ローラ-母材間の接続では抵抗が低くワイヤが十分に加熱されなかった.ワイヤ-母材間の接続ではワイヤが溶融し,切断するまで加熱可能であることが明らかになった.
製作した実験装置を用い,電流・電圧・ステージ送り速度などの加工パラメータを変化させて加工実験を行った.結果として,ワイヤ材料が母材と部分的に接合することが明らかになった.実験中のワイヤ温度をサーモカメラで観察したところ,ローラおよび母材の接触部で熱伝導によってワイヤ温度が低下し,接合を阻害していることが明らかになった.今後の実験ではローラの材質変更やその他加工パラメータの最適化によって積層条件の最適化を行う.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り,提案方法による実験装置の製作,加工実験を開始することができたため.

今後の研究の推進方策

通電電流,電圧,ステージ送り速度,加圧力などの加工パラメータを変化させて実験を行い,加工条件が接合状態や内部組織,機械的特性に与える影響を調査する.
上記の実験によって加工に与える重要な因子を明らかにし,その結果に基づいて実験装置を改良し,設定可能な加工条件範囲の最大化,接合強度および造形物形状精度の向上を目指す.具体的にはローラ材質,ローラ形状,加圧機構,ワイヤ送り機構などについて改良する.
平板上へ1層積層する基礎実験での知見が得られた後に,鉛直方向への積層や複数列積層などの様々な加工条件においての加工パラメータが接合状態や内部組織,機械的特性に与える影響を実験的に調査し,シェル構造や中実構造など様々な形状の造形実現を目指す.

次年度使用額が生じた理由

当初導入予定であった通電加熱およびワイヤ送給のための装置を購入せず,同等機能を有する機構を自作したことにより実験装置を低価格で構成することができた.また出張等が実施できなかったため次年度使用額が生じた.翌年度は実験計画を見直し,試行回数を増やす,実験から得られた知見に基づき装置を改良するなど適切に使用する.

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公開日: 2023-12-25  

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