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2022 年度 実施状況報告書

丸棒ねじり変形を用いた電流密度均一条件下での電気塑性効果の検証と機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K03803
研究機関横浜国立大学

研究代表者

前野 智美  横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80505397)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード電気塑性効果 / 変形抵抗 / せん断応力 / ねじり / アルミニウム / チタン
研究実績の概要

令和4年度前半は研究計画に基づき,通電条件および素材の初期条件を変えたねじり試験をアルミニウム(Al)丸棒において実施した.長手方向に電流を印可した場合は,いずれにおいても電流印可による変形抵抗の低下などは確認されなかった.そこで,年度後半は当初計画から少し方針を変更し,電気塑性効果が生じる通電条件を検討する実験を行った.
ねじりでは変形の進行とともに塑性変形が半径方向に沿うようになる.そこで半径方向に電流を印可する試験を実施した.半径方向に電極を接触させて電流印可を実施した場合,印可なしに対して5%程度の変形抵抗の低下が確認された.また,電流印可を途中停止,途中印可した場合,その挙動は反転して重なった.半径方向の電流印可では電気塑性効果が生じる可能性が示された.
丸棒では冷却側の温度しか測定できていなく,高温側となる内部温度が不明であった.そこでパイプ試験片を採用し内部を水冷し,非冷却側の外側温度を測定して高温側の温度を確認しながらねじり試験を実施した.パイプに外側の温度上昇は5℃以下であり,構築された実験系の冷却性能が十分であることが示された.また,Al丸棒と同様に棒材の長手方向に電流を流した場合,電流印可による変形抵抗の低下は確認されなかった.
一方,比較的大きな変形抵抗の低下が報告されているチタン材についても検討をした.Ti材はジュール発熱が大きくなるため,試験片サイズを小さくして冷却性を高めた.温度上昇は接触温度計において60℃程度であった.Ti材のねじり試験では30~40%の変形抵抗の低下が見られた.しかしながら,スポット溶接した熱電対で温度を再度確認したところ,260℃程度の大きな温度上昇が確認された.また,温度上昇と変形抵抗低下の挙動が同じであったことから,Tiにおける変形抵抗の低下はジュール発熱による軟化であるということがほぼ示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画では電気塑性効果と印可電流の関係やそのメカニズムを調査する計画となっていた.しかしながら,温度管理をした場合に電気塑性効果見られないという結果が強く示される進捗となっている.そのため,電気の印可方向や材料条件が電気塑性効果の発生有無に及ぼす影響調査に重点を置いた検証研究にシフトしている.他で報告されている結果とは大きく異なる結果となっており,研究成果は大きい進捗となっている.当初計画とは異なるがその進捗に顕著な遅れは見られない.

今後の研究の推進方策

Al丸棒の半径方向に電流を印可した条件において変形抵抗の低下が確認されたため,この条件において印可する電流と変形抵抗の変化の関係を明らかにする.またパイプ試験片においても半径方向の電流印可を行い,その実験温度を確認する.また変形後の試験片の硬さや結晶方位などを調査し,塑性変形の挙動に変化があるかを検討する.また,最終年度であるため,これまでの検討結果をまとめ,対外的に発表報告を実施する.

次年度使用額が生じた理由

研究結果に伴い当初計画とのずれが生じたため,予算範囲で研究方法を変更したため.繰り越し金額はあまり大きくなく,次年度の予算と合わせ利用する.研究計画の変更に伴い,電極や種々の材料の購入に消費される予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 純アルミニウムのねじりを用いた電気塑性効果発現の検証2022

    • 著者名/発表者名
      前野智美,金田晋弥,大塚美海,戸坂浩輔
    • 学会等名
      2022年度塑性加工春季講演会

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公開日: 2023-12-25  

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