研削加工において,工具表面に存在する砥粒の切れ刃の状態を計測・評価することは重要である.本研究では,砥粒を計測する手法として感圧紙を用いた転写画像から得られる分布状態の計測,および偏光カメラ画像を用いての個々の砥粒の状態計測を実施した.得られた各画像から画像処理を活用し,砥粒の分布のばらつきの評価や個々の砥粒状態評価法の提案を行った. 本年度は,砥粒の分布評価に関しては,本研究期間で得た実験結果と新たにシミュレーションを実施して,情報量エントロピーを用いた砥粒分布評価手法さらなる改善を行い,これらの結果をまとめ,英文誌(International Journal of Automation Technology)にて論文を発表した.これより本提案手法を用いると,研削ベルトが持つ研削能力の推定,つまりこれからどれくらいの加工が可能なのか?を推定できることを明らかにした.また昨年度に開発した偏光カメラ撮影装置を用いて,個々の砥粒状態の撮影と評価を試みた.昨年度は未加工の工具表面と加工1分毎の工具表面を撮影し合計5分までで状態評価を行ったが,本年度はさらに加工時間を延長し,計60分までの加工を実施した.未加工の工具表面と,使用後の工具表面の反射除去画像から,画像相関などの手法を用いて位置合わせを行い,輝度値の差分画像から砥粒の割れの状態とその位置を検出する手法を提案し,実験的にも確認した.以上の結果を国際会議(ISAAT2023;The 25th International Symposium on Advances in Abrasive Technology)にて発表を行った.
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