近年,各種ノズル穴,半導体・微小電気機械システムMEMS (Micro Electro Mechanical Systems),微細金型,光通信,医療,バイオ,マイクロマシン等の各分野において立体的で微細かつ高アスペクト比な三次元形状部品が増加しており,加工の高精度化・製品の高機能化のためこれらの寸法・形状精度・表面粗さなど,精密かつ非破壊での測定技術の確立が強く要望されている.そこで,本課題では,ファブリ・ペロー干渉計を光ファイバスタイラス先端部に組み込んだ接触式スタイラスを用いることにより,微細三次元形状を非破壊にて測定可能な装置の開発を目的として研究を実施し,以下の結果を得た.有限要素解析およびFinite-Difference Time-Domain (FDTD)法(電磁界解析)により,スタイラスの測定感度が最大となるよう弾性樹脂の厚み・材料,金ハーフミラー膜厚などのスタイラス設計パラメータを最適化した.次にスタイラスの製作方法について検討し,光ファイバをウエットエッチングにより小径化後,シャフト端面に金ハーフミラーを蒸着し,弾性樹脂を塗布することで先端部の製作が可能となった.先端部をレーザ加工により溶融成型する方法も検討したが,熱影響部が残らないよう干渉計部と接触子の距離を離す必要がある.また,製作したスタイラスの分解能測定実験を実施した.スペクトル生データに近似曲線をフィッティングし,そのフィッティング曲線のピーク波長シフト量を検出することにより,スペクトル波形のノイズの影響を低減することが可能となり,約30nmの分解能を得られることが確認できた.
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