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2022 年度 実施状況報告書

粒子衝突プロセスにおける特異な異種材固相接合現象の究明と常温付加加工への展開

研究課題

研究課題/領域番号 21K03810
研究機関東京都市大学

研究代表者

亀山 雄高  東京都市大学, 理工学部, 准教授 (20398639)

研究分担者 南部 紘一郎  大阪産業大学, 工学部, 准教授 (20610942)
市川 裕士  東北大学, 工学研究科, 准教授 (80451540)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードピーニング / 移着 / 固相接合 / X線CT
研究実績の概要

(1)微粒子ピーニングの速度条件が移着挙動に及ぼす影響について: 一般的な微粒子ピーニングの投射速度である100m/s弱と,本研究で比較対象と位置付けているコールドスプレー並みの投射速度である400~800m/sとで,スズ,亜鉛などの粒子をアルミ被処理材へ投射させて移着の発生を比較した.その結果,高速での投射(コールドスプレー模擬)では用いた粒子がその原型を比較的とどめた状態で移着しうるのに対し微粒子ピーニングではもともとの粒子から生成した微小な破片が移着に寄与していたことが解った.
(2)微粒子ピーニングによって移着した成分が被処理材微視組織の変化に及ぼす影響について: 微粒子ピーニングの過程では,移着物が母材中に機械的に混合され,筆者らが「ラメラ状組織」と呼んでいる特異的な微視組織が形成される.このような組織が形成される過程の準その場観察を試みた.ピーニングを逐次中断しながら行い,その各段階でX線CTを用いて表面および内部における鋼由来の移着鉄成分の分布を非破壊的に調べた.この方法により,アルミ母材表面近傍に分布した移着物を検出することが可能であった.さらに,材料内部における移着物の移動の様子を可視化する見通しも得られた.また,ラメラ状組織外縁部における移着鉄成分とアルミ母材との微視的な界面接合強度の測定も行った.過去の科研費課題での研究成果との対比を通して,接合強度は微粒子ピーニングの過程で材料が受ける加工の程度によって支配されている可能性が見出された.
(3)微粒子ピーニングにおける移着の発生メカニズムに対する解析的検討: 流体解析と粒子法シミュレーションによって,ノズルから投射される粒子を含む噴流の構造や試験片近傍での粒子の流れについてのシミュレーション方法を確立した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度にはラメラ状組織形成の準その場観察やきわめて対照的な投射速度条件における移着発生挙動の比較,移着物の微視的接合強度測定などの成果が得られたが,これらは極めて新規性が高いものであり有意義な成果が得られているといえる.

今後の研究の推進方策

移着の初期過程に着目して,母材と粒子の化学的性質や機械的性質が移着発生に及ぼす影響を明らかにする.とくに,単一の移着片が母材とどの程度の強度で接合しているのかを定量的に評価することを試みたい.また,昨年度実施したX線CT実験で得られたデータを,画像処理を駆使して詳細に解析し,ラメラ状組織の形成過程を時系列的にモデル化することを目指す.さらに,微視的接合強度試験の結果や粒子の衝突現象のシミュレーション結果との対比を通して,微粒子ピーニングによってなぜどのように粒子と母材との固相接合が発生しているのかについてメカニズムの考察を進める.

次年度使用額が生じた理由

X線CT実験は外部研究機関(沖縄県)の設備を借用して実施したが,その出張回数が想定よりも少なく済んだこと,その際に調達を要すると考えていた資材を先方のご厚意で借用できたことなどから所要経費が少なくて済んだ.この予算は,次年度の研究におけるデータ解析等をより効率的に実施するための設備導入などに活用させていただきたい.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 日本刀は槌で鍛える.機械部品は粒で鍛える? ~金属を鍛え接合する微粒子ピーニング技術~2022

    • 著者名/発表者名
      亀山雄高
    • 学会等名
      砥粒加工学会 砥粒の日オープンセミナー
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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