研究課題/領域番号 |
21K03816
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研究機関 | 兵庫県立工業技術センター |
研究代表者 |
山口 篤 兵庫県立工業技術センター, 技術企画部, 主任研究員 (90470244)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 放電加工 / つり下げ電極 / 曲がり穴 / 屈折穴 / 屈曲穴 / 深穴 |
研究実績の概要 |
申請者らは,電極球と銅箔で構成される「つり下げ電極」を用いた曲がり穴放電加工法の開発を進めている.これまでの研究を通じて,工作物を傾斜させて電極球を重力方向へ進めることで曲がり穴が加工できることを明らかにしたものの,得られる曲がり穴の形状精度は課題を有していた.具体的には,つり下げ電極は振り子のような挙動を示すため,工作物の傾斜角度よりも大きく曲がりすぎる現象(オーバーカーブ現象)が生じ,設計した曲がり穴形状と誤差が生じていた.そこで,この振り子現象を抑制するために,銅箔を誘導するための2種類のガイドを使用する曲がり穴加工法を考案し,実現可能性の検討を行った. 一つ目は,屈折穴を正確に加工するための,「固定箔支持ガイド」を使用する方法である.この固定箔支持ガイドを使用して,直線穴の底に電極球を配置する.工作物を傾斜させた状態で加工を開始し,重力方向に電極球を降下させる.これにより,直線と直線が結合した屈折穴形状を加工することがきる.実験の結果,アルミニウム合金および炭素鋼の工作物に対して,30度,60度,90度(直角)や100度など種々角度の屈折穴を,角度と穴底位置ともに正確に加工できることを示した.一方で,この固定箔支持ガイドは屈折穴加工には適しているもの,加工方向が刻々と変化する屈曲穴の加工には課題を有することも明らかになった. 二つ目は,屈曲穴を加工する方法として,「タンデムガイド」を使用する方法である.これは,銅箔に取り付けるタイプのガイドで,電極球と一定の距離を保ったまま加工を進める.タンデムガイドは,振り子現象の影響を低減することができるともに,電極の位置を正確に予測することができる.今後,曲率や最終角度の異なる屈曲穴の加工実験を行うとともに,深穴加工への適応可能性など,詳細な検討を進めていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3(2021)年に加工実験に取組めない期間があり,それ以後も研究計画に遅延が続いている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討を通じて,固定箔支持ガイドおよびタンデムガイドの2種類の箔ガイドを用いることで,屈折および屈曲穴形状が加工できることを示した.そのうち,緩やかに加工方向が変化する屈曲穴は,曲率・最終角度・狙い位置などの設計要素が多く,様々な形状バリエーションが存在するため,検討すべき課題を多く有していることが明確になった. 今後は,主にタンデムガイドを用いた屈曲穴加工について,形状精度の向上および深穴加工への適応に向けた検討を進める.具体的には,タンデムガイドの形状最適化,電極軌跡の計算方法の検討などを通じて,形状精度を担保しつつ実現可能な屈曲形状のバリエーションを増やしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3(2021)年に研究に取り組めない時期があり,以後もやや研究計画に遅延が生じている.また,実験の進捗に伴って詳しく検討すべき課題が明確になったため,購入計画を一部変更して次年度以後に必要な物品を購入する.
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