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2023 年度 実施状況報告書

付加切欠き構造による界面端部微小き裂の二重特異応力場低減と接着強度の制御

研究課題

研究課題/領域番号 21K03818
研究機関大分大学

研究代表者

小田 和広  大分大学, 理工学部, 教授 (50280459)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード接着接合 / 接着強度 / 特異応力場 / 干渉効果
研究実績の概要

本研究は,突合せ丸棒接着継手の接着界面近傍に円周切欠きを付与し,切欠き干渉効果によって界面端部特異場の強さの低減および接着強度の向上を目指している.これまでの研究で,切欠きを設けることによって,接着界面端部に生じる特異応力場を低減することで,接着強度が増加することが実験的にも示された.しかしながら,切欠きを深くするほど,界面端部付近の応力場は低下するものの,一方で,試験片内部の応力が増加し,試験片内部で破壊が生じることが明らかとなった.このため,界面端部の特異応力場の低下から期待されるほど接着強度が向上しないという問題が生じた.そのため,本年度では,切欠きの代わりに,接着面をフィレット形状とした丸棒試験片を考案し,接着強度の測定を行った.提案した新しい突合せ接着継手は,界面端部の特異応力場はほとんど生じず,また,試験片内部の応力もほぼ一定である.このことから,提案した接着継手は,従来の突合せ丸棒接着継手において界面端部に特異場が生じない継手形状であるとみなすことができる.この試験片形状については,試験片のフィレット長さ,フィレット厚さ,フィレット角部の曲率半径を変化させ,繰返し有限要素解析を行うことによって接着界面上の応力分布を解析し,最適形状を求めている.この試験を用いて引張強度試験を行った結果,接着強度は,通常の試験片よりも,およそ2倍程度向上した.さらに,接着層厚さを0.1mmから2mmまで変化させても,ほとんど一定の接着強度が得られる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は,突合せ丸棒接着継手の接着界面近傍に円周切欠きを付与し,切欠き干渉効果によって界面端部特異場の強さの低減および接着強度の向上を目指している.これまでの研究で,切欠きを設けることによって,接着界面端部に生じる特異応力場を低減することで,接着強度が増加することが実験的にも示された.しかしながら,切欠きを深くするほど,界面端部付近の応力場は低下するものの,一方で,試験片内部の応力が増加し,試験片内部で破壊が生じることが明らかとなった.このため,界面端部の特異応力場の低下から期待されるほど接着強度が向上しないという問題が生じた.そのため,本年度では,切欠きの代わりに,接着面をフィレット形状とした丸棒試験片を考案し,接着強度の測定を行った.提案した新しい突合せ接着継手は,界面端部の特異応力場はほとんど生じず,また,試験片内部の応力もほぼ一定である.このことから,提案した接着継手は,従来の突合せ丸棒接着継手において界面端部に特異場が生じない継手形状であるとみなすことができる.この試験片形状については,試験片のフィレット長さ,フィレット厚さ,フィレット角部の曲率半径を変化させ,繰返し有限要素解析を行うことによって接着界面上の応力分布を解析し,最適形状を求めている.この試験を用いて引張強度試験を行った結果,接着強度は,通常の試験片よりも,およそ2倍程度向上した.さらに,接着層厚さを0.1mmから2mmまで変化させても,ほとんど一定の接着強度が得られる.

今後の研究の推進方策

これまでの研究により,切欠きを付与した突合せ接着継手は,界面端部の特異応力場が低減され,接着強度が向上することが明らかとなった.さらに,フィレット形状の突合せ接着継手を提案し,その接着強度は,接着厚さを1mm程度とする通常の突合せ継手の2倍程度になることを実験的に明らかにした.切欠き付き接着継手については,切欠き位置の影響については検討していないため,最終年度は,切欠き位置を変化させた接着試験片を作製し,接着強度に対する影響について検討する.また,破壊位置の変化についても破面観察を中心に明確にする予定である.
実験ならび解析においても,これまでの研究は順調に進んでいるため,研究計画の大幅な変更はない.

次年度使用額が生じた理由

本年度は,本研究課題の成果を2回の国際会議で発表した.円安の影響もあり,旅費が想定より多く必要となり,今年度予定していた装置の予算が不足する状況となったので装置の購入を見送った.そのため,次年度の助成金と合わせて,今年度購入予定であった装置に使用する予定である.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Analysis method useful for calculating various interface stress intensity factors efficiently by using a proportional stress field of a single reference solution modelling2024

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro ODA, Shunske ASHIKARI and Nao-Aki NODA
    • 雑誌名

      Archive of Applied Mechanics

      巻: 94 ページ: 779-800

    • DOI

      10.1007/s00419-024-02540-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 引張接着強さの接着部の幾何形状寸法依存性について(特異応力場の強さISSFに基づく考察)2024

    • 著者名/発表者名
      野田尚昭,高木怜,小田和広,鈴木靖昭
    • 雑誌名

      自動車技術会論文集

      巻: 55 ページ: 205-212

    • DOI

      10.11351/jsaeronbun.55.205

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 接着強度に与える試験片形状の影響2023

    • 著者名/発表者名
      井手一希,竹尾真理華,小田和広,堤 紀子
    • 学会等名
      日本材料学会九州支部第10回学術講演会
  • [学会発表] 接着継手の接着層の弾塑性挙動についての解析と特異応力場による接着強度評価2023

    • 著者名/発表者名
      野田 尚昭,髙木 怜,小田 和広,鈴木 靖昭
    • 学会等名
      日本機械学会M&M材料力学カンファレンス
  • [学会発表] 継手端部形状が重ね合わせ継手の接着強度に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      小田 和広,小田 大希,井手 一希
    • 学会等名
      日本機械学会M&M材料力学カンファレンス
  • [学会発表] Examination of adhesive strength of lap joints with different joint end shapes using the interface crack model2023

    • 著者名/発表者名
      K. Oda, M. Takeo, H. Oda, K. Ide
    • 学会等名
      XXII International Congress Adhesive & Adhesion
    • 国際学会
  • [学会発表] Effect of circumferential notch on adhesive strength of butt cylindrical joints2023

    • 著者名/発表者名
      M. Takeo, K. Oda, K. Nishino, N. Tsutsumi
    • 学会等名
      The 11th International Conference on Fracture Fatigue and Wear
    • 国際学会
  • [学会発表] Stress intensity factors of interface cracks in orthotropic dissimilar materials based on material combination parameters2023

    • 著者名/発表者名
      K. Takahashi, K. Oda, N. Tsutsumi
    • 学会等名
      The 11th International Conference on Fracture Fatigue and Wear
    • 国際学会
  • [図書] 異種接合材の設計のための破壊力学2023

    • 著者名/発表者名
      野田尚昭・小田和広・高瀬康・堀田源治
    • 総ページ数
      270
    • 出版者
      コロナ社
    • ISBN
      978-4-339-04685-4

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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