血管や胆管などの生体管腔の狭窄に用いる医療用ステントは,生体管腔内での留置ステントの湾曲と再拡張を実現するための高い弾性変形性能と管腔壁を支える支持性能,動脈などの周期的な負荷に耐え得る高い強度と耐久特性,また生体内での拒否反応を緩和するための生体親和性が求められる一方,不十分な曲げ弾性,半径方向剛性によるステント内再狭窄(ISR)は起こる問題が挙げられる.本研究では,生体管腔用ステントに軽量かつ高強度と高い柔軟性のメッシュ構造を適応し,理想的な機能と特性を満たす医療用メッシュステントモデルを設計する目的で,メッシュステントモデルの曲げ柔軟性と半径方向支持性能の向上を目指した設計検討を行った. 生体管腔用ステントの高性能化として,設計・製造の低コスト化や面内伸縮や面外曲げの自由変形性能の向上,また荷重の均等分担で応力集中の低減による高強度・高寿命を図る設計概念に従い,正多角形ベースのメッシュ基本形状によるメッシュステントモデル,直線系メッシュ基本形状によるメッシュステントモデルと波形メッシュ構造を適用したメッシュステントモデルに対し,有限要素法を用いて各種設計変数によるメッシュステントモデルの曲げ剛性と圧縮剛性に対する解析評価と試作試験片を用いた実験評価を行い,下記の研究成果が得られ,それぞれの曲げ柔軟性向上と管腔支持性能の圧縮剛性を抑える設計方針を固めた.. 1.正多角形ベースのメッシュステントモデルの解析から,剛性が小さくなる設計変数の傾向を特定した. 2.波形メッシュステントモデルには,正多角形ベースのメッシュステントモデルに比べて大幅な柔軟性向上が図れた. 3.波形メッシュステントの試作圧縮実験から,既製品ステントと同等の圧縮特性に近づけられることを確認できた.
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