研究課題
基盤研究(C)
EV用モータの高速化に対応可能な減速機の構成要素としてポテンシャルがあるトラクションドライブの転がり疲労強度設計の信頼性を高めるために,疲労損傷メカニズムを分析した.疲労試験途中のローラ内部を観察した結果,これまで非金属介在物等の内部起点損傷と考えられてきた原因が,ローラ表面からのき裂発生とローラ内部への進展であることが分かった.そこで,破壊力学のParis則と疲労寿命予測手法をトラクションドライブに適用したところ,予測寿命と疲労試験結果がおおむね一致した.
設計工学・機械機能要素・トライボロジー
トラクションドライブには歯車等の他の伝動要素と比較して高速回転に適するという利点がる.これに破壊力学の疲労寿命予測式を適用した例は見られず,結果もおおむね一致したことは,良い成果と言える.ただし,精度向上の余地はあり,また,介在物がき裂進展速度に及ぼす影響も未解明である.これらをさらに解決出来れば,トラクションドライブの疲労強度設計の信頼性が高まり,EV用モータの高速化に対応可能な減速機の実現が可能となると思われる.