研究課題/領域番号 |
21K03830
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
三井 真吾 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (10714438)
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研究分担者 |
西村 龍太郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 博士研究員 (00828189)
新谷 正義 石川県工業試験場, 機械金属部, 技師 (20909337)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 異常検知 / 多変量解析 / 機械学習 / 残留応力測定 / 半価幅測定 |
研究実績の概要 |
本年度は、亀裂のあるレールを1mm間隔で詳細に測定した残留応力と半価幅分布のデータを用いて、正常部分のデータのみから正常モデルを構築し、異常箇所を検知する手法を開発した。統計的解析手法では、主成分分析およびカーネル主成分分析を用いて、データの次元削減を行って正常モデルを構築した。機械学習では、オートエンコーダを用いて次元削減を行った。測定データの説明変数の間で相関があるため次元削減により不要な変数を減らすことで多重共線性をなくすことができる。これら3つのモデルを比較したところオートエンコーダが最も良い性能を示した。 一部を損傷させ仮想的に異常を起こさせた試験片に対して、残留応力と回折環の半価幅の平面揺動測定を行い、平均的な値を取得し、異常品の検知が可能であるか検討を行った。基礎的な検知方法として残留応力や回折環の半価幅の閾値を設定する方法と、機械学習を用いて正常品と異常品の分類を行うモデルの精度を比較した。機械学習による分類が最も良い精度を示したが、試験片の数が少ないなどの課題もあるため継続して検討を行っていく。 当初予定していた次元削減以外にも分類器等が有効であることが分かったため、様々な機械学習の手法が適用できる可能性がある。今後は、異常や損傷の箇所・度合いにより、教師あり学習(回帰、分類)、教師なし学習(次元削減、クラスタリング)のいずれも検討を行い、有効な異常検知手法の開発を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに、残留応力と回折環の半価幅データから、統計的解析手法である主成分分析とカーネル主成分分析、機械学習であるオートエンコーダを用いた次元圧縮により異常検知を行うことが可能となった。また、分類器による異常検知も有効であることが分かり、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、模擬試験片を製作して、2円筒転がり接触試験により負荷量を変化させつつ、残留応力や回折環の半価幅データを取得して時系列的な損傷度合いの変化を評価する。評価手法として2021年度に開発した手法を元に活性化関数やハイパーパラメータなどの最適化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
材料高や材料不足により部品の調達が困難となり納期遅延などが発生したため、翌年度にずれ込んで使用することとなった。
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