研究課題/領域番号 |
21K03832
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大岩 孝彰 静岡大学, 工学部, 教授 (00223727)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 精密機械システム / 5自由度微小運動計測 / 線状レーザ光 / 光てこ / アッベ誤差 |
研究実績の概要 |
加工機や計測機に用いられる直交座標形メカニズムの直線運動機構では一般に位置決め方向のみのフィードバック制御しか行われず,機構の運動の真直度誤差や姿勢誤差に起因するアッベ誤差が発生し,空間的位置決め精度向上が困難であった.本研究の最終目標は,直線運動機構の位置決め方向を除く5方向の微小な運動誤差(上下・左右の運動の真直度誤差および3軸回りの姿勢誤差)をインプロセスで非接触に計測し,アッベ誤差の補正に用いることである.本研究計画ではレーザ光を凸面形状を持つターゲットミラーに照射した際の反射光の変位を位置センサで計測することにより上記多自由度微小運動計測を行う. 令和3年度は,まず光線が円筒状のミラーで反射した際の光の軌跡を幾何光学的に求め,入射角や光源および受光素子の設置位置等に関するパラメータの最適化を行った.結果,ターゲットの変位が光の入射方向にある場合は感度が拡大されないこと,2組の光軸を90°となるように配置することにより並進二方向の計測感度が等方化できることを見出した. 次に円筒ミラーと光源・二分割フォトダイオードを2組用いてyおよびz方向並進2方向の微小変位計測実験を行った.結果,±12μmの測定範囲内でyおよびz方向の微小変位計測が可能なことを確認した.測定誤差はy方向で4.4μmおよびz方向に3.0μm程度であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
使用したレーザ光源の安定性および二分割フォトダイオードの受光強度依存性により,光位置検出位置誤差が予想以上に大きかったため,最適な計測条件の設定に時間を要した.次年度は上記についての解決を図る.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き2自由度並進変位計測実験を行い,設計パラメータの最適化を行って計測精度の向上を測る.特に2自由度並進変位測定時に6~9%程度の非線形性誤差が観察されたため,この原因を調査し対策を行う.具体的には,2分割フォトダイオードでは受光強度や入射光線幅の影響を受けやすいため,影響の少ないと思われるPSD(位置検出素子)を試験し,その性能を調査する.
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