研究課題/領域番号 |
21K03839
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
齋藤 直樹 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (60315645)
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研究分担者 |
佐藤 俊之 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (40315635)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 空気圧 / 人工筋肉 / ヒステリシス / 弾性特性 |
研究実績の概要 |
本研究で提案する複動型人工筋肉において,ヒステリシスを低減した伸縮動作の方法について検討した.その結果,位置フィードバック制御に基づく外圧調整を行うことで,定常特性においてヒステリシスを解消することに成功した.今回の結果は定常特性のみであり,過渡特性については解消がなされていないため,正弦波などの連続的な動作に対しては遅れが生じることも実験で確認した.ただし,複動型人工筋肉およびその駆動システムは一般的な一型制御系で表現できることがわかったため,目標値の連続的な変化による遅れの発生は想定された結果である.したがって,この遅れの解消方法については従来の手法の適用によりある程度は低減できる見込みがあると考えている. 一方で,本来空気圧人工筋肉が持つ柔らかさ(弾性特性)については,フィードバック制御の適用の観点から考えると,位置制御系のサーボ特性が向上とトレードオフの関係にあると考えられる.つまり,サーボ特性の向上により硬い特性に近づいていくものと予想される.したがって,単に位置制御性能の向上だけを考えるのではなく,トレードオフを考慮した上での柔らかさの調節と位置制御性能の両面をどのように考慮するかという課題として出てきたといえる. こうした特性の問題を考慮するために,複動型人工筋肉の弾性特性について調査を開始し,基本的には内圧と外圧の調節で弾性特性が変化することを実験的に確認した.現在,内外圧と弾性特性の関係についてのモデルを検討しているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒステリシス低減方法の確立や複動型人工筋肉の製作工程の細かい見直しもあり,粘弾性特性の評価と調節についてまだあまり進んでいないため,進捗状況はやや遅れているものと考えている. しかし一方で,ヒステリシスの低減については実現でき,一般的な制御対象モデルと同等の特性を示していることから,弾性特性を考慮したモデルが確立できれば,特性の実現は難しくないと考えている.弾性特性の調節とヒステリシスの低減を両立した駆動方法を検討し,拮抗駆動システムでの制御への展開を進めたいと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
まずは,内外圧と弾性特性の関係を表すモデルの検討を行う.概ね特性や傾向は実験結果より把握できており,従来の人工筋肉の拮抗駆動システムや複動型空気圧シリンダーと構造や力学関係が類似していると予想されるため,これらを基にモデルの検討をすすめる. 弾性特性の調節とヒステリシスの少ない位置制御を1本の複動型人工筋肉で実現した後,拮抗駆動システムへと拡張する予定である. 拮抗駆動システムでは予め2つの複動型人工筋肉の弾性特性を決定できていることから,従来より提案されている人工筋肉拮抗駆動システムの双線形モデルに基づいて,広い動作レンジで弾性特性と位置制御の実現ができるものと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度はほぼ予定通り使用したが,初年度の実験機材等の調達不足による残額がそのまま残っており,この段階で計画通りの予算利用とはならなかった.実験システム用機器については研究室で所有する既存の機器を借用している状態のため,これら機器の供給が回復しつつある ことから,順次購入して置き換えていく予定である.
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