研究課題/領域番号 |
21K03849
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大谷 清伸 東北大学, 流体科学研究所, 特任准教授 (80536748)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 衝撃波低減 / 固気液混相多層媒体 / 音響インピーダンス / 光学可視化計測 |
研究実績の概要 |
本研究では、爆発等に伴う衝撃波圧力被害からの人や建築物の防御等に関連して、医学上、工学上重要な研究課題である衝撃波圧力の低減について、音響インピーダンスを考慮した固体、液体、気体の混相の多層媒体との干渉による新たな衝撃波圧力低減方法の確立を目的としている。この目的のため、初年度は固液粒子群、網状媒体との衝撃波干渉を行い、衝撃波低減に効果的な干渉の方法、干渉対象物を明らかにするための実験的な検討を行った。 微小爆薬の起爆によって発生させた衝撃波を水液滴群、および重ねて多層にした網媒体と干渉させて、衝撃波干渉挙動を高時間・高空間分解能を有する光学可視化計測および圧力計測の同時計測によって明らかにした。 固液それぞれの粒子群との干渉により、衝撃波のピーク過剰圧と衝撃波伝播速度が低減することが示された。そのうち、起爆後早い段階における粒子群との干渉で、衝撃波威力の低減がより効果的であることがわかった。特に水液滴群の場合には、起爆点に近い領域で水液滴が大きく変形、微粒化し抵抗が増すこと、高温の爆発生成ガスと干渉するために熱移動が大きくなり、これらの要因が衝撃波圧力低減に寄与していることが示唆される結果となった。 多層網媒体との干渉では、網のメッシュ数が大きく、枚数をより多く重ねることでより効果的に衝撃波威力が低減すること、重ねる網間に一部空間を設けることで、干渉する多層網媒体からの反射衝撃波を低減することが示される結果が得られた。 また、固液粒子群干渉による衝撃波低減効果に関する実験結果との比較検証として、粒子群干渉による衝撃波挙動を汎用数値解析ソフトウェアANSYS AUTODYNを用いて数値解析を行うための解析モデルの検討を行い、次年度以降の数値解析による検証の準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度の研究計画では、粒子群および網媒体との干渉による衝撃波低減効果の実験的な検証および機序の解明を主としており、実験結果より干渉による衝撃波低減、効果的な条件と機序について明らかになってきている。計画していた研究項目に関しては、全て順調に進んでいるため、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は昨年度に実験研究で得られた干渉による衝撃波低減結果より、より効果的な方法を模索していくために、音響インピーダンス特性に考慮した干渉対象物体での衝撃波干渉実験を実施し、固気液混相媒体との干渉による衝撃波圧力低減手法確立に結びつけられる知見を得られるよう実験的に検証していく予定である。また、数値解析によりこれまで得られた実験結果による知見の検証を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行のため、学会等が全てオンライン開催となり、出張ができず旅費の使用ができなかった。次年度は音響インピーダンス特性を考慮した様々な衝撃波干渉対象物(材質等)での実験、再現性を確認するための実験回数を多く予定しているため、その費用(衝撃波発生用微小爆薬と干渉対象物体材料の購入)にあてる予定である。
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