研究課題/領域番号 |
21K03851
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩野 耕治 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20750285)
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研究分担者 |
酒井 康彦 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (20162274)
伊藤 靖仁 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40346078)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 乱流物質混合 / 高シュミット数 / LIF濃度計測 / 微小スケール普遍性 / 乱流モデル |
研究実績の概要 |
分子拡散が起こりづらい(=高シュミット数)物質が乱流中で混合されるとき,微小スケールに普遍的な濃度揺らぎの構造(粘性対流小領域)が存在することが理論的に予想されている.長年,この予想の検証が試みられてきたが,計測装置の空間分解能不足や,スパコンの計算性能不足のため,未だに普遍性の実証には至っていない.本研究では,申請者の開発した極めて高い空間分解能を持つ光ファイバ型LIF濃度計測装置を用いて,様々な乱流混合場で高シュミット数物質の濃度変動を計測することで,粘性対流小領域の存在,及びその普遍性を検証することを目的としている. 本年度は,水槽内の静止流体中に染料溶液を噴出し,軸対称噴流中での染料の濃度変動を,上記の濃度計測装置を用いて計測する実験を実施した.計測対象は高シュミット数(3000程度)の蛍光染料である.実験では噴流レイノルズ数を一桁以上変化させ,乱流物質混合場に及ぼすレイノルズ数の影響を調査した.その結果,レイノルズ数が大きいほど粘性対流小領域における濃度変動パワースペクトルの傾きが-1(=理論予測値)に近づくことが明らかとなった.一方,粘性対流小領域よりも微小スケールに存在する粘性拡散小領域における無次元濃度変動パワースペクトルは,レイノルズ数によらず普遍的な形状を持つことが明らかとなった.また,次年度に実施する予定の格子乱流中での濃度変動計測実験に向けて,格子乱流水路の製作と予備実験を実施した.その結果,テストセクション内に平均速度と平均濃度が一様な乱流物質混合場を生成することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,軸対称噴流場における高シュミット数物質の濃度変動計測を実施でき,乱流物質混合場の微小スケールに関して複数の新規知見が得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,当初の計画通り,格子乱流場において高シュミット数物質の濃度変動計測を行う予定である.格子乱流水路に平均速度勾配生成装置と平均濃度勾配生成装置を新たに設置することにより,乱流物質混合場の微小スケール(粘性対流小領域)に及ぼす平均速度勾配と平均濃度勾配の影響を明らかにする.さらにそれらの影響を組み込んだ高精度乱流モデルの開発を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,水路実験用乱流格子が当初予定より低予算で製作できたため,および学会がオンラインで開催され旅費の出費がなかったためである. 次年度予算は,データ解析用の高性能計算機の購入,平均速度勾配生成装置および平均濃度勾配生成装置の製作等に使用する予定である.
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