管の曲率とスタックの挿入位置に着目し,より多くの進行波成分を含む熱音響自励振動を発生させる方法を明らかにした.曲管の曲率半径がわずかに異なる3つのループ管において,スタックや熱交換器および,バッファ管を含むエンジン部の挿入位置をそれぞれ変更し,熱音響自励振動を発生させる実験を行った.全長とエンジン部を共通とすることにより,管の曲率とスタック挿入位置が自励振動に及ぼす影響を明らかにした. 曲率半径が大きい場合,エンジン部の取り付け位置によらず,pp値は概ね一定な値となり,定在波成分の少ない進行波に近い基本振動モードの自励振動が発生することが分かった.曲率半径が中間の場合,pp値はエンジン部の取り付け位置に依存するものの,いずれの位置においても基本振動モードの自励振動が発生することが分かった.曲率半径が小さい場合,発生した自励振動が飽和に至らずに時間の経過共に減衰・消滅するエンジン部取り付け位置を境にして,低温熱交換器側が曲管に近くなる場合には基本振動モードの自励振動が発生し,高温熱交換器側が曲管に近くなる場合には,定在波成分が多く含まれる2次振動モードの自励振動が発生することが分かった. 令和5年度は,上記実験の内,曲率半径が中間の曲管を用いた実験を行った.また,各ループ管において,各振動モードのpp値が最大となるエンジン部取り付け位置における超過圧の空間分布を明らかにした.これにより,曲率半径が小さい場合,2次振動モードの自励振動に多くの定在波成分が含まれ,基本振動モードの自励振動にも比較的多くの定在波成分が含まれることが分かった.また,曲率半径が小さくかつ基本振動モードの自励振動が発生する場合,低温熱交換器に近い圧力センサにおいて超過圧が飽和に達しても,高温熱交換器に近い圧力センサでは,超過圧の大きな変動が継続することが分かった.
|