研究課題/領域番号 |
21K03865
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉岡 修哉 立命館大学, 理工学部, 准教授 (80375146)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | マイクロバブル / エマルション / 油滴 / 能動制御 / 超音波 / 電界 |
研究実績の概要 |
2021年度には、①超音波によるマイクロバブルの挙動制御、②電界によるエマルションの挙動制御を実施した。 ①超音波によるマイクロバブルの挙動制御では、水槽内の径が均一ではないマイクロバブル群に対して超音波を照射した。その結果、ビヤークネス力により水槽内に凝集体が形成された。凝集体の体積や、構成するマイクロバブルの径は超音波の周波数及び音圧により変化した。凝集体は、水槽内で定在波となっている超音波の腹と節の部分に捕捉された。従って、マイクロバブルは水槽内で浮上することなく、凝集体を形成しつつその位置を保持することができた。定在波の節位置には、共振径よりも大きなマイクロバブルが、腹の部分には共振径よりも小さなマイクロバブルがそれぞれ凝集体を形成した。 ②電界によるエマルションの挙動制御では、O/Wエマルションを2分岐する流路に流し、油滴のみを独立して分岐の片方のみに誘導した。O/Wエマルションは、シラス多孔質ガラス(SPG)膜により生成した。SPG膜への圧入圧力は0.5MPaとし、得られた油滴の平均直径は10マイクロメートルであった。このエマルションに界面活性剤を添加し、油滴に電荷を与えた。この電荷を与えた油滴を含むエマルションを電極が設置された水槽内に入れた。電極間の電界の作用により、正電荷を与えられた油滴は負電極側へ、負電荷を与えられた油滴は正電極側に移動した。移動速度は、電極間電圧と共に増加した。一方、移動速度に油滴直径への依存性は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、電界・磁界・超音波によるマイクロバブル・エマルションの複合制御を最終目的としている。1年目である2021年度は、電界によるエマルションの制御と、超音波によるマイクロバブルの制御を実施した。研究計画では、電界と磁界によるエマルションの制御を目標としていた。磁界による制御は実施できなかった一方で、超音波によるマイクロバブルの制御ができたことから、総合的にはおおむね順調に進展したと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の2022年度は、マイクロバブル・エマルションの磁界による制御をまず試みる。そのために、1方向の一様な磁界が作用する実験用流路を製作する。この流路に磁性粒子を吸着させたマイクロバブルおよびエマルションを流す。ここに磁界を作用させて、マイクロバブルおよびエマルションの移動方向を制御する。 次に、電界・磁界を非定常に変化させることで、マイクロバブルおよびエマルションの動きを非定常に制御する。ここでは、電極間電圧や電磁石に与える電圧を周期的に変動させる。マイクロバブルおよびエマルションの動きが、どの程度の変動周波数まで追従するかを確認する。さらに、電界が縦方向に、磁界が横方向に作用する水槽を用意し、これらを同時に変化させることで、水槽内にてマイクロバブルおよびエマルションを2次元的に動かす。 3年目以降は、さらに超音波を用いる制御を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、参加した学会(日本機械学会第99期流体工学部門講演会、日本機械学会2021年度年次大会)がオンライン開催となった。そのため、当初予定していた学会参加に必要な費用が少なくなった。これにより、今年度使用額が当初の予定より少なくなったことから、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、2022年度の学会参加費用に充当する。
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