研究課題/領域番号 |
21K03893
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
西岡 牧人 筑波大学, システム情報系, 教授 (70208148)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 旋回流 / 対向噴流拡散火炎 / 超希釈燃焼 / 三重火炎 / 水素火炎 |
研究実績の概要 |
アクリル製の旋回流発生装置・石英ガラス製燃焼容器・ステンレス製燃料噴射管およびその固定装置からなる旋回対向噴流拡散燃焼バーナを製作し、二酸化炭素希釈メタンおよび窒素希釈メタンを燃料として実験を行った。その結果、いずれの燃料の場合も、安定で定常な拡散火炎を形成することができた。しかし、希釈可燃限界に到達する前、即ち可燃限界内においても、火炎先端で必ず局所消炎が発生することが確認された。ただし、ある程度の局所消炎を許すならば超希釈燃焼が可能であることも確認された。 局所消炎を回避する方法として、空気の代わりに希薄予混合気、燃料の代わりに過濃予混合気を用いることで、当初予定していた単独の拡散火炎ではなく、過濃予混合火炎・拡散火炎・希薄予混合火炎から構成される三重火炎を旋回流中に形成させる方法を新たに考案した。そして実験を実施したところ、少なくとも安定で定常な三重火炎を形成することが確認された。また現時点では、希釈可燃限界を超えた超希釈条件において燃焼が可能である感触を得た。 また、当初から予定していた炭化水素燃料に加えて、水素を燃料とした実験も実施した。このバーナを水素燃焼に適用すると、既燃ガス逆流の作用により拡散火炎面における温度が低下し、NOx生成が抑制される効果が期待できるのが、この実験を実施した理由である。なお実験では火炎形状だけでなく、排ガス中のNOx濃度も測定した。 一方、数値計算用サーバを購入し、希釈メタン空気旋回対向噴流拡散火炎の計算を実施した。実験と同じ条件の計算結果における火炎形状を実験と比較し、良好な一致を得た。また、火炎先端付近で逆流が発生することを確認した。水素火炎の数値計算も実施し、実験と火炎形状の良好な一致を得た。なお三重火炎の計算は未着手である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
希釈メタン空気旋回対向噴流拡散燃焼の場合、希釈可燃限界にある程度近づくと、可燃範囲内においても、火炎先端付近での局所消炎がどうしても回避できないことが明らかになった。そこで対策として、通常の拡散火炎に代えて新たに三重火炎を導入することに方針を変更した。また局所消炎が発生しにくいと考えられる水素も、炭化水素燃料に加えて対象燃料にすることにした。これらの変更が、当初の計画より遅れた理由である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、二酸化炭素希釈メタンおよび窒素希釈メタンを燃料とした旋回対向噴流三重火炎の希釈燃焼実験、および水素を燃料とした旋回対向噴流拡散火炎の実験を実施する。三重火炎については、種々のスワール数や空気流量に対して希釈可燃限界を詳細に測定する。一方水素火炎については排ガス中のNOxを測定し、NOx のEmission Indexを求めて通常の水素空気拡散火炎と比較する。 2台目の数値計算用サーバを購入し、実験に合わせた詳細反応数値計算を実施する。まず、旋回対向噴流三重火炎において未燃成分が発生するかどうかを数値計算によって確認する。三重火炎の場合、未燃成分が発生しないためには、火炎先端において希薄予混合火炎・拡散火炎・過濃予混合火炎の三者が融合する必要があると考えられるが、それがこのバーナで実現できるかどうか現時点では不明であるため、数値計算により確認する。一方、水素空気旋回対向噴流拡散火炎の計算をNOx生成を含めた反応機構を用いて実施し、実験とのNOx生成の比較を行う。
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