研究課題/領域番号 |
21K03903
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
西山 貴史 福岡大学, 工学部, 助教 (80363381)
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研究分担者 |
高尾 幸来 福岡大学, 工学部, 教授 (50234688)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 次世代冷媒 / 低GWP冷媒 / 状態方程式 / 液相音速 / 液相密度 / 振動式密度計 |
研究実績の概要 |
近年の地球温暖化防止への関心・要求の高まりに伴い、地球温暖化係数の小さい低GWP冷媒の開発が求められ、その候補が数多く提案されている。そのような新規冷媒の性能評価、およびそれらを用いて動作するヒートポンプ機器の設計を行うには、それぞれの冷媒についての高精度な状態方程式が必要となる。 状態方程式作成には、広範かつ高精度な熱物性値データが必要であり、液相音速についても多くの実測値が求められている。申請者らは、既存のR-1336mzz(Z)の状態方程式を基準とした圧力補正式を適用することで、構築した液相音速測定システムによる高精度測定を実現したが、100℃を超える領域への対応や、液相音速に加えて液相密度も得ることができれば、状態方程式に用いる熱物性値としての有用性が格段に向上する。そこで本研究の目的を、より高温域での高精度液相音速測定、および液相音速・密度の同時計測の実現とした。 今年度の研究では、未対応であった100℃を超える領域での計測に取り組んだ。これまでに用いてきた圧力補正に加え、音波の減衰の影響を考慮することにより、音速センサーの測定温度上限である125℃までの領域において高精度音速測定が可能となった。 また、液相密度測定については、振動式密度計による計測システムの立ち上げを完了している。ただ、当初に計画していた液相音速・密度の同時計測については、配管長が長くなることによって1回の計測に必要となる冷媒量が増加するのは、希少な新冷媒の計測において不利になる可能性が高いため、最短の配管長で音速・密度それぞれの計測を高精度で行う方針に変更した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
液相音速測定で未対応であった100℃を超える領域での計測について、これまでに用いてきた圧力補正に加え、音波の吸収係数による補正も行うことによって、音波の減衰の影響を考慮できるようになり、125℃までの領域において高精度音速測定を行えることを確認した。また、液相密度測定についてもが装置立ち上げ・試運転が進んでおり、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初は液相音速・液相密度の同時計測を目的としていたが、同時計測システムを構築するには、どうしても配管長が長くなり、1回の計測に必要となる冷媒量が増加することが明らかになった。これは少量しか手に入らない可能性の高い新冷媒の計測においては大きなデメリットとなるため、液相音速・液相密度それぞれの計測を高精度で行う方針に変更する。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加した国際会議・国内会議が全てオンライン開催となったため、旅費の支出が必要なかったため次年度使用額が生じることとなった。これらは翌年度分と合わせて、消耗品購入・旅費等として使用予定である。
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