濃度変動火炎の希薄可燃限界の拡大と消炎に及ぼすルイス数効果と選択拡散効果の影響を解明するため,希薄メタン/空気火炎と希薄プロパン空気火炎を対象とした.燃料濃度(当量比φ)の変動振幅φaを0.05,変動周波数fを5~50 Hzとした.メタン火炎とプロパン火炎の平均当量比φmは,定常火炎において燃焼速度の等しい,0.85,0.8とし,基盤データを得た.その結果,各fにおけるメタン火炎のCHラジカル発光強度(∝発熱速度.以降CHと呼ぶ)の最大値はfの増加に対して極大値をとり,同じ当量比の変化域における定常火炎のCHの最大値を超える.一方,各fにおけるプロパン火炎のCHの最大値は,ルイス数効果のために,定常火炎の最大値を超えず,fに対して低下する.これら二つの火炎のCHの最小値は,fに対して極小値をとる. φaを増幅さることによって消炎特性を調査した.5 Hzにおいて,いずれの火炎もφの変動に追従して応答し,φが定常火炎の希薄可燃限界φlimitを下回ると,速やかに消炎した.20,40 Hzにおいて,プロパン火炎では,φlimit以下の混合気が火炎に流入すると,火炎中央に穴の開いた局所消炎が観察されるが,メタン火炎では見られなかった.Φaの増加に対し,各周期におけるCHの変動振幅も増加するが,φがφlimitを下回ると,各周期におけるCHの最大値は低下し,完全消炎が遅れる. φaの増幅率IRが消炎に及ぼす影響について,5 Hzでは,IRと燃料種によらず,φがφlimitを下回ると速やかに消炎する.20 Hzにおいて,IRの増加に対し,いずれの火炎も消炎の遅れの程度は短くなった.40 Hzにおいて,メタン火炎とプロパン火炎のIRの増加に対する各周期におけるCHの最小値の低下の程度に違いが見られず,バックサポート効果がより強く作用し,希薄可燃限界もまた更に拡大することがわかった.
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