低温プラズマを天然ガス(メタン+空気)へ照射し,それによって生じる水素などによって燃焼特性を改善させることを試みた.予混合条件(Lean/Rich)では,メタン転化率が高くなるが,H2が生成しにくく,吸熱反応への選択性が悪いことが分かった.内燃機関などへ応用するには,適当ではない.一方,減圧条件にすることにより最大40%ほど転化率を向上させる事が出来た. 実験は当量比,流量を変化させて行った.評価パラメータには,メタン転化率(投入したメタンが他の物質に転化(分解)された割合),水素生成効率(転化されたメタンに含まれる水素原子のうち水素分子になった割合で吸熱反応への選択性を評価できる),エネルギ効率(投入した電気エネルギが化学エネルギとして蓄えられた割合)を選んだ. この結果,メタン転化率は酸素濃度が増えていくほど上昇した.これは,酸素の存在が酸化反応によるメタンの分解に有効であることを示す.水素生成効率は酸素濃度が増えていくほど減少し,メタン転化率の結果とは逆の傾向を示した.これは,メタンが多く転化される条件では水素が生成しにくい(吸熱反応への選択性が悪い)ためで,予混合気にプラズマを照射し燃焼させる方式は適当ではないことを示唆している.吸熱反応でのエネルギ効率(単位時間当たりのエンタルピ増加 / 加えた電力)を求めた.エネルギ効率は最大でも2%ほどで低い.CO2混合条件では理論吸熱量が高くなるため,エネルギ効率が上昇した.これは,排ガス再循環燃焼との組み合わせが有効であることを示唆している.
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