飛躍的な熱伝達を達成する焼結型多孔質伝熱管の伝熱メカニズムの解明と応用研究

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 21K03914
• 研究機関: 電気通信大学
• 研究代表者: 榎木 光治 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (40719407)
• 研究期間 (年度): 2021-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 熱交換器 / カーボンニュートラル / 多孔質体 / 金属 / 焼結 / 摩擦圧力損失 / シミュレーション / 排熱

研究実績の概要

金属繊維多孔質体について，内径18mmで金属多孔質体を空隙率80％で充填長さ25mmで充填し，オール純アルミで生成された試験体を元に，実験的研究とシミュレーション解析を実施した．実験的な結果では，流速が遅い領域では300℃の温度差が取得出来ることが判明し，流速を上げると徐々に出口温度が上昇し250℃の温度差になる事がわかった．これは従来径管では50℃ほどの温度差も取れなかったことを考えると，飛躍的な熱交換効率である．この多孔質体をCTスキャン化して数値シミュレーション解析を行った．この結果は，実験結果と定量的にも定性的にも一致し，伝熱量だけでなく摩擦圧力損失までプラスマイナス10％程度と非常に高精度で再現することができた．これは何を意味するかというと，従来は多孔質体内の温度や圧力分布，流速などが不明であったが，シミュレーションにより今後はデータが得られることで，飛躍的な熱交換を行う伝熱管の物理メカニズムの解明を行う事で，他の伝熱管の最適設計などへ応用することが可能となる．

現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

1年目でシミュレーション結果が実験値と定量的にも定性的にも高精度で一致したため．

今後の研究の推進方策

シミュレーション解析によって得られたデータをもとに，どのようなメカニズムで，赤ちゃんが持てるほど軽量で親指ほどしかない伝熱管で300℃もの温度差を得ることができるのか，メカニズム解明を行っていく予定である．

備考

AAASに掲載された

研究成果

• [雑誌論文] Experimental investigation into the heat transfer and pressure drop performance of sintered high porosity media (2021)
  • 著者名/発表者名: Watanabe Ren、Kobayashi Takuto、Otomo Yusuke、Akisawa Atsushi、Ueda Yuki、Enoki Koji
  • 雑誌名: Applied Thermal Engineering 巻: 196 ページ: 117284～117284
  • DOI: 10.1016/j.applthermaleng.2021.117284
  • 査読あり
• [雑誌論文] Subcooled Flow Boiling Heat Flux Enhancement Using High Porosity Sintered Fiber (2021)
  • 著者名/発表者名: Galicia Edgar Santiago、Otomo Yusuke、Saiwai Toshihiko、Takita Kenji、Orito Kenji、Enoki Koji
  • 雑誌名: Applied Sciences 巻: 11 ページ: 5883～5883
  • DOI: 10.3390/app11135883
  • 査読あり / オープンアクセス
• [備考] 従来にない高効率での熱回収が可能な伝熱管の技術を開発
  • URL: https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2021/21-1015a.html
• [備考] カーボンニュートラルや持続可能な社会の実現に向けて飛躍的な貢献をする伝熱管の研究開発に成功
  • URL: https://www.uec.ac.jp/news/announcement/2021/20211015_3775.html
• [備考] Scientists use sintered porous media
  • URL: https://www.eurekalert.org/news-releases/932106