本研究では、一方向性の気孔構造を有するロータス銅を溝付き伝熱面上に張り付け、液を沸騰させることで発現するブリージング現象を利用して液を自発的に伝熱面に供給し、飽和プール沸騰の限界熱流束を飛躍的に増大させることを目的としている。まずポーラス体と溝を含むCFDシミュレーションを実施し、溝の出口から蒸気泡が排出される際、ロータス上部および溝の反対側から液が供給されることを明らかにした。以上の知見から、溝の深さを深くして蒸気排出効果を高めたところ、約730W/cm^2の非常に高い限界熱流束を達成した。更に、絶縁性冷媒を用い、一方向溝に対し直交溝の熱伝達率が最大で1.5倍向上することも明らかにした。
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