研究課題/領域番号 |
21K03920
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
熊野 寛之 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30262299)
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研究分担者 |
森本 崇志 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30803259)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ガスハイドレート / ガス貯蔵 |
研究実績の概要 |
TBAB-CO2ダブルハイドレート生成時における,ハイドレート生成速度に対するCO2包蔵特性を解明することを目的として,TBAB-CO2ダブルハイドレートが生成する際のCO2ガス圧力,TBAB水溶液温度,TBAB水溶液濃度を同時に計測することにより,生成条件を明らかにするとともに,ダブルハイドレートの生成速度とCO2包蔵量の関係を把握する. 1年目は,TBAB-CO2ダブルハイドレート生成時のガス圧力,温度,濃度の同時計測のための圧力容器を設計・制作を行い,装置の妥当性の評価を行った.本装置では,ハイドレート生成中の容器内から,微量の水溶液を抽出することにより,濃度を直接計測することが可能であり,ガス圧力,温度,水溶液濃度の同時計測が可能となった.TBABハイドレートおよびCO2ハイドレートを生成し,その際の温度と濃度の関係,温度と圧力の関係を把握し,本装置には十分な妥当性があることを確認した.2年目は,TBAB-CO2ダブルハイドレートの生成条件の検討を行った.圧力容器に封入したTBAB水溶液とCO2を反応させ,その際の温度,圧力,濃度の関係を測定した.ハイドレートの生成条件となっても直ちにはハイドレートは生成されず,生成温度以下に冷却する必要があり,急激にハイドレートが生成する.この場合には,非常に大きな生成速度となってしまうため,急激なハイドレートの生成後に,温度を上昇させることにより,ハイドレートの多くを分解し,その後,所望の冷却速度で冷却しながらハイドレートの生成を行った.まずは,十分に時間をかけてハイドレートを生成し,その際の温度,圧力,濃度の関係を求めた.ここで得られた値は,従来の研究とおおよそ一致していることから,ここでの温度,圧力,濃度の関係は,TBAB-CO2ハイドレートの相図に相当する関係が得られたものと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要にも記載した通り,当初のTBAB水溶液の導電率を用いて濃度の計測を行う方法と比較して,より精度の高い濃度の測定が可能となったことから,より確かな結果を得ることができる.さらに,TBAB-CO2ダブルハイドレートに対する,温度,ガス圧力,水溶液濃度の関係も,従来の研究と概ね同じ値を示していることから,本装置で生成されたハイドレートは,CO2包蔵量を評価するためには十分な性能を有していると考えられ,概ね予定通りに進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,圧力容器内にTBAB水溶液を封入し,脱気した後にCO2を充填し,TBAB-CO2ダブルハイドレートを生成する.この際,ハイドレートの生成温度となっても直ちにはハイドレートが生成しないことから,一度ハイドレートを生成した後,温度を上昇させ,ほとんどのハイドレートを分解してから,再度冷却することにより,ハイドレートを生成する.この際,所望の速度で冷却することにより,冷却速度をパラメータとして,温度,ガス圧力,水溶液濃度の関係を把握していく.これによって,冷却速度がガス包蔵量に与える影響を評価できるものと考えられる. 本年度は,最終年度であることから,これらの結果を踏まえて,TBAB-CO2ハイドレートを利用したガス貯蔵を実施する際の最適な冷却速度などについて,運転条件の指針を与えることができるものと思われる.
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が少量であり,使い切りが難しかったためであり,特段の理由はなかった.この残金を含めて,次年度は研究を予定に従って使用する計画である.
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