研究課題/領域番号 |
21K03922
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田中 三郎 日本大学, 工学部, 准教授 (30713127)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エネルギーハーベスティング / 熱電 / 薄膜 / 界面 / 熱抵抗 / 計測 / 熱伝導率 |
研究実績の概要 |
室温付近で高い熱電変換効率を示す熱電材料に用いられるビスマス,テルル,アンチモンおよびセレンの薄膜を高真空蒸着法により作製した.また,それらの成膜は原料の充填量だけではなく,ターゲットと成膜用基板の位置関係および真空度によって大きく異なることを確認した.基板により生成される膜の強度が変化する可能性があったため,基板の種類をガラスおよびアルミナで成膜して基板との密着性を確認した. 界面熱抵抗の計測には3オメガ法を応用して実施するため,3オメガ法の計測システムを構築した.3オメガ法は,ヒーターおよび温度センサーを兼ねる金属薄膜細線をサンプル上に作製し,交流電流をその細線に流すことでジュール発熱を起こし,金属薄膜細線に掛かる1オメガ電圧の1000分の1程度の3オメガ電圧を検出する必要がある.本研究ではソフトウェア内で3オメガ電圧を取得する計測システムとした.ヒーターおよび温度センサーの金属薄膜細線の作製には高真空蒸着法によりアルミニウムを蒸発させて,シャドウマスクを用いて任意のパターン(細線幅20μm,長さ2mm)を成膜できることを確認した.さらに,構築した計測システムの評価をするためにサンプルが成膜されていないガラスおよびシリコンウェハ基板のみの熱伝導率を計測して,ガラスが1Wm-1K-1程度,シリコンウェハが150Wm-1K-1程度であることを確認した. 現在までに異種基板への単層の成膜および界面熱抵抗を計測するための3オメガ法の構築が完了し,次年度に積層サンプルの成膜および界面熱抵抗の計測を実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画で挙げていた蒸着による熱電材料に用いられるビスマス,テルル,アンチモンおよびセレンを異なる基板に成膜し,その成膜の清浄度を確認することは予定通り進んだ.また,次年度に構築予定であった界面熱抵抗で用いる3オメガ法の計測システムの構築およびその計測で用いる金属薄膜細線のパターン生成の確認を先行して実施することができた.ただし,成膜したサンプルの観察はこれから実施するため,進捗を「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
単層薄膜および積層薄膜のサンプルに絶縁膜を成膜して3オメガ法用の金属薄膜細線を作製することで熱伝導率を計測し,その結果から界面熱抵抗の算出する.同時に薄膜サンプルの観察についても順次進めていく.また,最終年度に予定している数値計算による界面熱抵抗の諸因子の調査のためには計算ノウハウが必要となるため,その事前調査を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止のため,予定していた学会がオンライン開催になったことに加え,研究打ち合わせをオンラインで開催したため旅費の支出が大幅に減ったことで使用できなかった. 次年度の配分額と併せて,改めて学会参加旅費や研究打ち合わせなどに充てる.
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