研究課題
本研究は,永久磁石を用いたコンパクトな非線形磁気ばね振動子に反磁性体による受動的磁気浮上技術を組み合わせることにより,大ストローク・極低損失の非線形磁気浮上磁気ばね振動子を開発,非線形振動子を用いた広帯域振動発電デバイスの高出力応答を達成しようとしたものである.最終年度では,(1) 反磁性材料を用いた筒型磁気浮上振動子の機械減衰抑制効果の評価,(2) 反磁性磁気浮上振動子における設計可能パラメータ領域の解明,(3) 対称ソフトニングおよび非対称ハード・ソフトニング振動子の設計論の確立,(4) 同設計論を用いたパワー平坦な広帯域ソフトニング振動子の設計と評価,を行った.(1)では,角筒型磁気浮上振動子において管壁を反磁性体複合材料板で構成することによる摩擦損失低減効果を評価した.その結果,樹脂管壁との比較において減衰比を10%程度低減できたが,当初目指した可動磁石の非接触支持には至らなかった.そこで(2)では,反磁性体磁気浮上を用いた水平振動子に立ち返り,その平衡点における浮上磁石の水平・垂直固有振動数の間にトレードオフが存在し,そのパレートフロントは浮上磁石の密度,磁束密度と形状および反磁性体材料の負の磁化率で決まることを指摘した.同様のトレードオフは筒型磁気浮上振動子にも存在すると考えられ,現在その解析を行っている.(3)では前年度に確立した対称ハードニングハーベスタのパワー帯域解析理論をより一般的な非線形性に拡張した.その結果,対称ソフトニングハーベスタにおいては理論上(平均法による近似理論の意味において)実現可能な帯域幅に制限がなく,なおかつ(4) 発電パワーの周波数特性が完全にフラットなハーベスタを実現可能であることが示された.さらに永久磁石による磁気ばねを用いた設計法を提案した.実機検証には至ってないが,設計における最適化手法の見直しにより可能になると推察される.
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Proceedings of the 2023 IEEE 22nd International Conference on Micro and Nanotechnology for Power Generation and Energy Conversion Applications (PowerMEMS 2023)
巻: 1 ページ: 106-109
10.1109/PowerMEMS59329.2023.10417557