研究課題/領域番号 |
21K03940
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
阿南 景子 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (30346077)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 機械力学 / 流体関連振動 / 自励振動 / 振動特性 / 安全対策 |
研究実績の概要 |
国内外の多くのダムで洪水調節に用いられているテンタゲート式水門は、本質的に動的不安定性を具備している。緊急時に使用されることもあるテンタゲート式水門の長期的な安全性を確保するための方法について検討した。ゲートの持つ2つの固有振動の振動数比を調節することでゲートを動的安全に導けるが、特に、ゲートの巻き上げワイヤーの剛性を低下させる方法が有用であることが明らかになっている。しかしながら、剛性を低下させると放水時にゲートを巻き上げるという巻上げワイヤー本来の役割を果たせなくなる。そこで、本課題では、ワイヤーの剛性を低下させる実現性のある方法として、巻上げワイヤー中間に特殊なばね装置を設置する方法について検討を進めている。 ゲート高さ、スパン長さ、スキンプレート円弧半径がいずれも約1mの大型三次元モデルゲートを用いて実験的な検討を行った。さらばねとショックアブソーバーを円筒容器内に設置し、ワイヤーの剛性を低く保ちつつ微小開度を避けてゲート本体を巻き上げる方法である。モデルゲートの巻き上げワイヤーの調整により、ゲートの不安定の状態を変化させて実験を行った。それぞれの場合について、さらばねの必要寸法、枚数を調節し、効果的な特殊ばね付き巻上げ機構を設計した。ゲートの動的不安定が比較的小さい場合には、ゲートを安定に保ったまま巻き上げることが可能であり、一定の効果がられたが、ゲートの動的不安定が比較的大きい場合には、かなり大型のばね装置が必要となるため、具体的な作成、試験を行うことができなかった。この点についてはばね及び機構の見直しを含め、引き続き慎重に検討していく必要がある。最終的な目標である実機のいかなる運転状況においても動的安定性を確保できるような特殊ばね機構を設計するための基礎データを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大型テンタゲート式水門の動的安全性を確保する具体的な方法について検討した。モデルゲートの動的不安定の状態を2通りに変化させ、それぞれの場合について、効果的な特殊ばね装置を設計した。ゲートの動的不安定が比較的小さい場合には、ゲートを安定に保ったまま巻き上げることが可能であり、一定の効果がられたが、ゲートの動的不安定が比較的大きい場合には、かなり大型のばね装置が必要となるため、今後さらなる検討が必要である。最終的な目標とする実機用の特殊ばね装置の設計のための基礎データを得た。引き続き実験を行うことで、データの信頼性を高め、実用ゲートへの適用の可能性について提案を行うことが可能となるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
大型テンタゲート式水門の動的安全性を確保する具体的な方法について、引き続き実験的な検討を進める。令和3年度の成果をもとに、ゲートの動的不安定性や目標開度を変化させ、ゲートの動的安定を確保する特殊ばね付き巻上げ装置の設計を進める。令和3年度の研究では、さらばねを用いると装置全長が長くなる問題点があったため、以前に検討したコイルばねを用いる方法や他の方法も含め、再度検討を進める。また、実機用の特殊ばね装置を設計するために、具体的な主要諸元の決定を進める。モデル実験により提案手法の信頼性を高めるとともに、ゲートオーナーや関係機関に対しても実機への取り付けについて提案を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症拡大の影響を受け、国内外の研究会、打ち合わせ、学会等の学外での活動が全く行えなかった。そのため、モデル実験用のための材料や必要部品等を購入し、実験回数を増やした。しかしながら、全額を使用しなかったため、約35,000円の次年度使用額が生じた。次年度使用額は、令和4年度のモデル実験の部品購入代として使用する。
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