研究課題/領域番号 |
21K03944
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
土田 崇弘 東京工業大学, 工学院, 助教 (50707578)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 不規則振動 / 確率力学 / 確率論的応答解析 / 動的信頼性解析 / 確率密度関数 / 初通過破壊確率 / 非ガウス性不規則励振 |
研究実績の概要 |
本研究は,確率密度関数の裾の広がり度合を特徴づける4次の統計量である尖度に着目し,尖度が異なる多様な非ガウス性不規則励振の場合に適用できる機械・構造物系の初通過破壊確率の解析手法の開発を目的とする.これに関して,令和4年度は,令和3年度に開発した解析手法を通して得た変位と速度の結合応答確率密度関数を用いて,系の初通過破壊確率の解析手法の開発に取り組んだ.具体的には,変位と速度の結合応答確率密度関数を用いて,変位応答の平均閾値通過率(変位応答が閾値を単位時間あたりに通過する回数の期待値)を導いた.次に,その平均閾値通過率から,変位応答の極大値の確率密度関数を求め,その極大値確率密度関数をもとに,変位応答の最大値の確率密度関数を導出した.最後に,求めた最大値の確率密度関数から,系の初通過破壊確率を算出した.以上の手順により,非ガウス性不規則励振を受ける系の破壊確率の解析手順を完成させた. 続いて,実在の非ガウス性励振を用いた解析手法の精度と汎用性の検証を行った.上記の手法で求めた破壊確率の解析結果をモンテカルロ・シミュレーションの結果と比較することで,解析手法の精度を検証した.非ガウス性励振の例として,1.強地震動,2.浅海波,3.凹凸路面を走る台車に生じる垂直加速度という全く異なる3種の非ガウス性観測データを用いることで,手法の汎用性も合わせて検証した.そして,本手法が,設定したいずれの解析条件においても,十分に高精度であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度に予定していた「初通過破壊確率の解析手法の開発」を予定通り完了したため.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,励振の尖度の違いが系の破壊確率に及ぼす影響の解明に取り組む.前年度までに開発した解析手法を用いて,非ガウス性不規則励振の尖度および閾値の大きさを広い範囲で変化させながら,系の破壊確率を求める.この際,励振パワースペクトルの帯域幅と卓越振動数も重要なパラメータであるため,これらも広範囲で変化させて解析を行う.解析結果をもとに,励振の尖度の違いにより破壊確率がどのように変化するのか,また,その変化の傾向や度合が閾値の大きさや励振パワースペクトルの帯域幅・卓越振動数の違いに応じてどのように変わるのかを明らかにする.以上の研究により,非ガウス性不規則励振に特有のまれに生じる大励振が系の破壊確率に及ぼす影響を解明する.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由1. 購入予定であった物品を当初予定より安く購入できたため, 2. 学会がオンライン開催となり,それに係る必要旅費がなくなったため. 使用計画1. 効率的に研究を進めるため,追加のワークステーション,ソフトウェアの購入に充てる, 2. 研究成果を発表するための論文投稿費,英文校閲費,オープンアクセス掲載料等に充てる, 3. 令和5年度に新たに開催される学会の参加費・旅費に充てる.
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