2023年度は,前年度は新たに判明したねじり変形に対する分極発生の非線形特性のため,本研究課題の申請当時の当初予定の検討項目の一部に着手できなかったことを踏まえ,新たに圧縮方向の複合荷重を加えることを考察し,研究遂行中に明らかになった非線形性の要因究明と素子の軸方向荷重の効果について検討した。また圧電効果とフレクソエレクトリック効果の効果的組み合わせによる高効率発電素子へのPZTセラミックスを材料とした発電素子を用い,ねじりと曲げと圧縮変形の3者を複合的かつ効果的に与えることができる装置を新たに設計・製作した。その装置を用いて各変形を単体で素子に変形を与えた場合と,2種の負荷を複合で与えた場合についての特性を検討した。開発した実験装置は長幅比の高い素子を懸下し,先端に可動チャックを設置して下方から圧電アクチュエータで軸荷重を加えられる構造をしており,横方向からの2つのアクチュエータによるねじりと曲げの変形を加えながら複合的負荷を与えられる工夫をしている。新たに開発した装置を用いて発電素子の特性を調査その結果,まず軸方向変形は分極処理方向に対して圧電定数がd31方向の作用であるにも関わらず,軸方向圧縮荷重に対する発電感度への影響が曲げとねじりに対して小さいこと,軸方向荷重が上述の非線形性に何らかの影響を与えていること,さらにねじりとたわみの変形については,フレクソエレクトリック効果と圧電効果の相乗作用のため,高効率のエナジーハーベスタ素子の実現には不可欠な要素であることを明らかにし,従来にない発電素子の実現に向けた課題を明らかにした。
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