研究課題/領域番号 |
21K03954
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
金子 成彦 早稲田大学, 理工学術院, 教授(任期付) (70143378)
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研究分担者 |
上道 茜 早稲田大学, 理工学術院, 准教授(テニュアトラック) (10734155)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 交通事故 / 居眠り運転 / 体調モニタリング / 生体信号 / モデル化 / 温熱環境 / 自律神経系 / 温度調節 |
研究実績の概要 |
職業ドライバーの過労運転による死亡事故は,交通事故の総件数が減少しているにもかかわらず増加傾向にある.このような事故を防止するためには,ドライバーの覚醒度を「検知」し,居眠り運転の危険性がある際には,覚醒状態を維持するための「対策」を行う必要がある.覚醒状態を維持するための対策には,車室内空調制御によるドライバーへの温熱刺激が有効であるとされている.人体が寒冷環境に曝されると,体温を保持する目的で抹消血管が収縮(交感神経活動が高進)し,覚醒度の低下を妨げる効果が期待される.
しかしながら,温熱環境-自律神経系-心臓血管系間の定量的な関係性は明らかになっていないため,実際の運転場面への応用には未だ検討の余地が多い.また,人間の温熱環境への快適性評価は定性的なものである.問題の解決の糸口を見つけるために,人の快適性評価をも織り込んだ温熱環境を考慮することのできる数理モデルを開発する.
2021年度の研究では,心臓系と血管系の相互作用の数理モデルへの人体温熱モデルの組み込みを行った.その後,このモデルを用いて車室内温度と覚醒度の変化の関係をモデルによって計算し,被験者による実験結果と比較した.その結果,被験者の感じている変化をモデルで表現できていることは明らかになった.ただし,長時間の実験中に車室内のCO2濃度が高くなり,被験者の覚醒状態は,車室内温度変化だけではなく,CO2濃度変化の影響も受けることが判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
数理モデルの構築だけでなく,被験者の実測データによる実験結果と比較し,概ね良好な結果を得たことから,当初の予定以上のスピードで計画は進んでいると判断しました.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,被験者数を増やし,確実性とばらつきを同定するとともに,車室内の温度環境だけではなくCO2濃度の影響を加味した実験を行い,CO2濃度の影響も数理モデルに追加する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、コロナ禍の影響で、生体信号計測実験において被験者数を予定していた人数分確保することができなかった。そのため予定していた謝金を繰り越すことになった。2022年度に使用する予定である。
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