研究課題/領域番号 |
21K03958
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
兼重 明宏 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (70224615)
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研究分担者 |
佐郷 幸法 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (70766435)
上木 諭 岐阜大学, 工学部, 准教授 (50467213)
野田 善之 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60426492)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 旋回クレーン / 地切り / 姿勢制御 |
研究実績の概要 |
本研究では,旋回クレーンの玉掛け・地切り時動作において,吊り荷の重心位置が特定できない複雑形状,密度の偏りに制限されることなく,大重量である吊り荷の振動を抑え且つ,目的地に短時間で荷の搬送を行う「安全性と作業効率を考慮した旋回クレーン地切り時の姿勢制御・搬送制御システムの開発」を行う. 昨年度までに,提案手法を実験検証する実験装置を改良し,PID制御器を用いた姿勢制御系の設計を行い,制御過渡応答性,制御系の荷の重量変化に対するロバスト性の実験検証を行った.提案手法は,地切り時の姿勢が変化した場合に制御を行うものであり,過渡応答特性の応答速度と定常特性である定常偏差に問題があった.そこで本年度は,制御手法を改良し,昨年度同様に少ないセンサで姿勢制御系の設計を行い,過渡応答特性と定常特性の改善を図った.また,改良した制御手法による姿勢制御系の荷の重量変化に対するロバスト性の実験検証を行った.そして,搬送中の荷振れを抑制する搬送制御システムの開発も並行して行った.さらに,実用化を図るために,クレーン企業と打ち合わせを行い,特許の可能性も含めて検討を行った.特許の可能性を検討したが,類似的な先行研究があり,特許の可能性は低いと判断した.しかし,先行研究では,センサを多用しており,とくに力センサを用いていることから,次年度,力センサを用いた制御系の性能と提案手法を性能を比較することで本手法の有用性の検討を行う計画である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は,地切り時の吊り荷姿勢制御システムと搬送中の荷振れを抑制する搬送制御システムの統合化を図る計画であったが,コロナ禍で共同研究先との実験ができず,システム統合した実験ができていない.令和5年度に早急に行う計画である.
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今後の研究の推進方策 |
地切り時の吊り荷姿勢制御システムと搬送中の荷振れを抑制する搬送制御システムの統合化を図り,提案手法の有用性の検討を行う.システム統合する際に,互いのシステムで機能,機構上の干渉問題(例えば,荷の姿勢制御機構の形状や重量により,搬送制御システム設計に影響があること等)が考えられ,その問題を解決してシステム開発を行う.特に,作業効率を図るため,地切り動作と搬送制御を同時に行う場合において,それぞれの制御システムにおける制御性能上の干渉が(姿勢制御で重心位置を玉掛け位置下垂点に強制的に移動させる動作と荷振れを抑制するためにクレーンの吊り下げ支点を移動させる動作が同時に)生じることが予想される.その場合は,どちらの制御システムを優先して実行するかなど,互いの制御をハイブリッドに行うためのアルゴリズムの構築が必要であり,安全性と作業効率の両面を満足できるシステムの構築を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で共同研究先との実験ができず,地切り時の吊り荷姿勢制御システムと搬送中の荷振れを抑制する搬送制御システムの統合化を図ることができず,統合化による実験ができていない.また,それに伴い特許取得の関係で,研究成果を公表することができず,学会発表登録料,旅費,共同研究先との旅費が使用できなかった.本年度は,統合化の実験のための費用(実験機器,旅費)ならびに,研究成果発表の参加費,旅費を執行する.
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