研究課題/領域番号 |
21K03960
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
島田 邦雄 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (80251883)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 機能性流体 / ゴム / 磁気混合流体(MCF) / 電磁波 / エナジーハーベスティング / 磁場 / 電場 / 触覚 |
研究実績の概要 |
東日本大震災により被災した第一原発の廃炉作業に絡んで,デブリや瓦礫等の取り出しや解体に対する技術的諸問題に対して様々な立場から取り組んで来ている.その中にあって,本申請者が開発したMCFゴムセンサは,ゴムとしての耐放射性や放射能発電の可能性の一端が,これまでの一連の研究で判明した.すなわち,MCFゴムは,手や足など人間の触覚と同じようなセンシングをすると同時に人間の皮膚と同じく伸縮性と弾力性に富むことが必要で,廃炉作業以外の未来のロボットにおいても有効であることが判明した.さらに,ピエゾ効果によるセンシングや,バッテリー,太陽電池としての多機能性を有することも判明した.そこで,広範囲な波長帯の電磁波に反応するMCFゴムを機能的に開発すれば,現在のエナジーハーベスティングを拡張した展開型エナジーハーベスティングを実現することができ,また,廃炉作業用ロボットに搭載できる触覚センサとしても提案でき,さらに,新しい応用機器の提案にも繋がるとの着想に至る.これを研究目的として,まず本年度は,MCFゴムに種々のドーパントを混合することにより,本研究の目的に沿うMCFゴムセンサを作成した.次に,東工大の先導原子力研究所の60Coによるγ線照射実験室を借りて,γ線照射による自己誘起電圧の上昇率について調べ,放射能下における電気特性や材料力学的特性等の解明や耐放射能,放射能発電の特性解明を行った.ここで,MCFゴムの作成については,従来,磁性流体を混合することを母体としてきたが,昨今の製造終了に伴い,これに代替する流体を開発する必要性が今年度より生じた.そこで,表面活性剤に着目した新しい代替流体を開発することに成功し,ハイブリッド流体(HF)と命名した.このHFからなるゴムの基本特性(電気特性,材料力学的特性等)についても実験的に明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的達成のために必要な,広範囲な波長帯の電磁波に反応するMCFゴムの作成において,従来のMCFでは磁性流体を混合することを母体としてきたが,磁性流体の昨今の製造終了に伴い,これに代替する流体を開発する必要性が今年度より生じた.しかしながら,表面活性剤に着目した新しい代替流体を開発することに成功し,ハイブリッド流体(HF)と命名することが出来た.また,このHFからなるゴムの基本特性(電気特性,材料力学的特性等)についても実験的に明らかにすることが出来た.これにより,当初想定していた研究成果よりも多くの研究成果を得ることが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
当初想定していた研究成果よりも発展した多くの成果を生むことが出来たハイブリッド流体(HF)は,広範囲な波長帯の電磁波に高精度に反応することが判明して来ている.そこで,これを主体に,広範囲な波長帯の電磁波である遠赤外線等の電磁波に対する反応について実験的,理論的に研究を推進していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた研究内容より,際立った研究成果を得ることが出来るようになったため,多少の余剰が生じた.次年度に繰り越して使用することとする.
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