研究課題
2016年4月から,ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術 (Robot Assisted Laparoscopic Partial Nephrectomy: RALPN) が保険適用となり,RALPNが急増した.RALPNに主に使用される手術支援ロボットda Vinciでは,ステレオ内視鏡と6自由度鉗子が利用可能ではあるが,狭い視野での細かい作業となり,個人差はあるが一般的に,対象臓器までの到達,腎動脈の特定,腫瘍の発見,切除ラインの決定等の準備作業に100分程度,阻血・腫瘍切除・縫合・阻血解除に25 分程度の時間が掛かる.また良好な術後回復には,腫瘍を最少で除去し,正常組織を最大限に残存することが最良ではあるが,腫瘍の残存は再発を誘発するため,正常組織も含めて広めに切除するのが一般的である.しかし,この切除領域の決定は医師の経と験勘に依存している場合が多い.一方,血管の塊である腎臓を通常のメスやハサミで切開すれば大量出血してしまうため,通常は電気メスを用いて止血(焼結)しつつ切開される.しかし,その特性上,臓器内部にも電流が流れて,正常組織に不必要な加熱を与えてしまうという欠点があるが,これまでに電気メスによる臓器深部への熱影響や組織損傷の範囲,熱伝導モデルの研究は皆無で未知である.そこで,ビジュアルオドメトリ (VO) 技術と拡張現実感技術を応用した,電気メスの熱影響を考慮した切除領域提示機能を有するxR 手術支援システムを開発する.また,GPUと物理シミュレーションライブラリを積極的に活用した,高いリアリティを有する手術シミュレータを開発し,xR手術支援システムの精度検証を行う.R5年度は主に,ブラー処理によるVOの精度検証,腎冷却時の腎全体の熱伝導シミュレーションおよび熱伝導の関数化,動力学エンジンを用いたリアリティの高い膜のシミュレーションに関する研究を行った.
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Journal of Bioinformatics and Neuroscience (JBINS)
巻: 9 (1) ページ: 434-439