最終年度では、開発されたBMIシステムの評価を行なった。特に、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた脳信号の分類の堅牢性を評価した。さらに、開発したシステムを用いて、EEG/EMG信号を用いたロボットのリアルタイム制御をテストした。ジェスチャー認識や、人間-ロボット間の相互作用タスクに対してロボットアームを制御した。これらの研究成果を、国際および国内の学会やジャーナルに発表した。 主な二つの研究トピックは以下の通りである: 1.GA(遺伝的アルゴリズム)を用いて高精度でEEGを分類するための的確なデータ選択を行った。他のCNN研究におけるGAは、分類のための最適なCNNアーキテクチャやパラメータを求める用途で使用されることが多いが、学習データの選択の最適化という点に着目し使用した。運動想起時と実際の運動時タスクの脳波データを使用し、GAを用いてCNNによる転移学習に用いるデータ選択を行い分類精度の向上を行った。 2.ME及びMIベース2種類の実験を用いて各被験者の電極を最適化した。1つ目の実験は、被験者が安静にしている状態に加えて、球体型のボール、直方体型のスマートフォン及び棒型のペンを把持する運動実行タスクを行う実験である。2つ目の実験は、オーストリアのグラーツ工科大学でLeebらによって測定された実験である。具体的には、左手、右手、両足、舌を動かす運動想起タスクを行なった。その後、深層学習手法の一つであるCNNを用いて各タスクを対象とした脳波分類を行なった。 同時に、最適化手法の一つであるGAを用いて各患者が使用する電極を最適化した。最後に、GAにより最適化した電極を用いて、被験者の脳波信号に基づいてロボットハンドをリアルタイムで制御し、その性能を検証した。
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