交通事故の分析調査によって,日本における自転車関連の死傷事故は8割以上が自動車との事故であり,その中でも出合い頭事故の割合が5割以上を占めていることがわった.出会い頭では見通しが悪いことから,飛び出しを認識してから停止しなければならない時間が短い傾向にある.これは現在商品化された衝突被害軽減ブレーキでも,飛び出しを検知してからでは衝突を回避できないという課題が残る.そこで本研究では見通しの悪い交差点での自転車と自動車の出合い頭を対象にして,ビックデータの活用による潜在的な危険箇所の解消を目的とする.今回は自動車側の取り組みで事故減少を目指すことを考え,ビッグデータに基づいて走行シーンから自転車の飛び出しや急な進路変更を予測して回避する熟練ドライバーモデルの構築とそれに基づくリスクレジリエンスコントロールシステム(経路計画と速度計画)を目標とした. リスクレジリエンスコントロールでは,GPSや車載カメラを用いて交通文脈を取得し,飛び出し予測ドライバモデルに入力する. 飛び出し予測ドライバモデルで出力する飛び出しポテンシャルと,車両の位置と車速,加速度,道路境界からの側方間隔を加速度探索器に入力することで必要な加速度が出力される.次にこの計画された加速度からアクセル開度,ブレーキ踏み込み量に変換し車両を制御するというシステムになっている.加速度探索には予測型運転支援の開発で有効性があるリスクポテンシャル法を用いている. リスクレジリエンスコントロールシステムのコンピュータシミュレーションを行い、回避効果を確認した。また、ドライビングシミュレータに実装し,被験者実験によってその受容生及びシステムの安全性向上効果について検証し,その研究成果をまとめた.
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