これまでクモヒトデを規範とした移動ロボットとして,胴体へ120度等配で配置した3本の連続体脚による螺旋捻転運動を組み合わせる事によって全方向移動を実現した.令和5年度は,移動効率を向上させるために螺旋捻転運動の軌道の見直しと機構の再設計,水中での無線給電の実現のためにレーザ光を用いた給電システムの構築を行った. 当初の予定では水中での移動を実現するために,連続体脚と胴体部の防水化を行う予定でいた.しかし可動範囲が大きく,かつ連続体脚を構成する腕骨の間に噛み込まない防水カバーの製作が難しく,本研究では移動性能の向上を優先して進める事にした. 連続体脚による螺旋捻転運動は円錐螺旋と常螺旋の軌道を組み合わせた拡張円錐螺旋を形成し,螺旋軌道が胴体部の1点へ収束する.そして連続体脚の1周期目の接地点と胴体下部を交互に接地させることによって移動を行う.従来の螺旋軌道の断面は円であったが,移動の際に垂直方向へ胴体部を大きく動かす必要が無いため,螺旋軌道の断面が楕円になるよう腕骨の再設計を行った.腕骨の内部を貫通するワイヤガイドと中心からの距離の比率により水平方向が垂直方向よりも2倍の可動範囲で動作を行う.また連続体脚を駆動するワイヤの摺動抵抗の軽減と,張力の拡大を行うために機体の再設計を行った.さらに先行機体では胴体部は6角柱の形状をしており,胴体が接地した際に底面の影響を大きく受けてしまったが,再設計を行い胴体部を正12面体とし,連続体脚が頂点から放射状に出る構造に変更した. 水中無線給電については,クモヒトデ型ロボットを用いた水中での移動実験と水中無線給電による効果の実証までは及ばなかったが,実際の深海水を用いて緑色レーザとGaInP太陽電池を用いて伝送効率31.3%を実現した.
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