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2023 年度 実施状況報告書

熟練者の無駄のない動きの解明と身体性が異なるロボットへの動作転移

研究課題

研究課題/領域番号 21K03984
研究機関中京大学

研究代表者

橋本 学  中京大学, 工学部, 教授 (70510832)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード動作分析 / 判断根拠 / 身体性ギャップ / 共通動作モデル
研究実績の概要

R5年度は,(1)動作識別法の改良および内部分析の手法,(2)ヒトとロボットの身体性ギャップを考慮したロボット動作生成手法,(3)料理タスクを想定した共通動作モデルに関する検討をおこなった.
(1)については,これまでに開発したSpatial Temporal Graph Convolutional Networks(ST-GCN)ベースのスキルレベル識別手法に加え,SubgraphXをベースとしたスキルレベル分析手法を開発した.ST-GCNは,組立作業時の骨格データを手や肘,肘や肩などの関節間のつながりを表現したグラフデータから特徴抽出することができるネットワークモデルである.また,SubgraphXはGNNのアテンション分析手法であり,学習済みのST-GCNからスキルレベルの判断根拠を時間的かつ空間的に抽出することができる.52シーケンスにダウンサンプリングした10秒程度のデータを用いた実験により,たとえば,仮締めの動作における右手首と右肘にアテンションが集中していること,また,仮締め動作における左手首と左肘にもわずかにアテンションが集中していることなどが明らかになり,本手法の有効性を実証できた.
(2)については,熟練者の無駄のない動きのロボット転移を実現するため,ある部品に対して事前に教示した組み立て作業時における人間にとって最適な把持点を手掛かりとして,別部品におけるロボットにとっての最適な把持点を決定する手法を提案した.実際にロボットを用い,対象物としてコネクティングロッドを用いた実験の結果,動作成功率は83.0%であることを確認した.
(3)については,同一目的で使用されるさまざまなサイズや形状の道具に対して,共通的に利用できるモデルを1つ用意し,センシングした機能情報を反映することによって軌跡を生成する手法である.これについても,実験により有用性を確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

R5年度は,熟練スキルの分析に関しては,グラフニューラルネットワークのアテンション分析手法を適用し,有効性を確認することができたことから,着実に遂行できていると判断している.
別部品におけるロボットにとっての最適な把持点を決定する手法についても,人間にとって最適な把持点を手掛かりとして,別部品におけるロボットにとっての最適な把持点を決定し,有効性を確認することができたことから,着実に遂行できていると判断している.
また,料理タスクにおいても,人の円滑な動きをロボットに反映させる手法を提案し,有効性を確認することができたため,着実に遂行できている.

今後の研究の推進方策

R6年度は,本年度に新たに適用した,SubgraphXによる分析結果の有用性の検証と,SubgraphXによる分析手法の拡張に取り組む.具体的には,入力データのシーケンス長の拡張を考えている.これにより,作業時間が長く複雑な作業データに対しても分析可能なシステムの作成に取り組む予定である.
また,別部品におけるロボットにとっての最適な把持点を決定する手法については,ハンド形状の違い以外の身体性ギャップを考慮し,人の動作を参考にしたロボット動作生成手法を提案する予定である.例えば,人とロボットでは,動作可能範囲が異なることや,関節の数が異なる.これらを考慮した動作生成手法を開発していく予定である.
また,料理タスクにおける人の円滑な動きをロボットに反映させる手法については,軌跡の他に速度や加速度などの情報をロボットに反映させる手法の開発を予定している.

次年度使用額が生じた理由

モーションキャプチャーのためのカメラ増設をR5年度に実施する予定であったが,実験計画の変更に伴い,現行装置での実験を優先した.またR5年度の研究成果のうち,ロボット動作生成に関する研究成果については,予定通り,国内および国際会議での成果公表を実施したが,動作認識に関する成果については,国内学会2件での発表をおこなったものの,国際会議投稿にはいたらず,その旅費が未使用となった.
R6年度では,モーションキャプチャー用カメラの増設および,成果の国際会議での発表のための費用として使用する.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Robot motion generation for precise scooping of powders material based on recognizing 3D functional attributes of spoons2024

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Yamada, Yuta Ando, Takahiro Suzuki, Shuichi Akizuki, and Manabu Hashimoto
    • 学会等名
      International Workshop on Advanced Image Technology 2024 (IWAIT2024)
    • 国際学会
  • [学会発表] 技能レベル識別のロバスト化のための速度入力型ST-GCNの提案2024

    • 著者名/発表者名
      棚橋悠翔,木村康佑,三好遼,秋月秀一,橋本学
    • 学会等名
      2024年電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] SubgraphXを用いたST-GCNのアテンション分析による組み立て作業の熟練動作分析手法2024

    • 著者名/発表者名
      棚橋悠翔,木村康佑,秋月秀一,橋本 学
    • 学会等名
      知識・技術・技能の伝承支援研究会(SIG-KST)
  • [学会発表] Reliable Matching by Combining Optimal Color and Intensity Information based on Relationships between Target and Surrounding Objects2023

    • 著者名/発表者名
      Rina Tagami, Hiroki Kobayashi, Shuichi Akizuki, Manabu Hashimoto
    • 学会等名
      International Symposium on Visual Computing (ISVC2023)
    • 国際学会
  • [学会発表] 周辺物との相互関係に基づく最適な色と明るさ情報の組み合わせによる高信頼画像マッチング2023

    • 著者名/発表者名
      田上鈴奈,小林大起,秋月秀一,橋本学
    • 学会等名
      画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2023)
  • [学会発表] 共通動作軌跡モデルと道具の機能センシングに基づく操作実現のための汎用動作生成2023

    • 著者名/発表者名
      安藤優汰,山田一稀,鈴木貴大,秋月秀一,橋本学
    • 学会等名
      28回知能メカトロニクスワークショップ(IMEC2023)
  • [学会発表] 道具の機能センシングを用いた定性的軌跡の定量化に基づくロボット動作生成2023

    • 著者名/発表者名
      安藤優汰,山田一稀,鈴木貴大,秋月秀一,橋本学
    • 学会等名
      ビジョン技術の実利用ワークショップ(ViEW2023)
  • [学会発表] 機能センシングを用いた定性軌跡の定量化に基づくロボット動作生成手法の提案2023

    • 著者名/発表者名
      安藤優汰,山田一稀,鈴木貴大,秋月秀一,橋本学
    • 学会等名
      第24回計測自動制御学会インテグレーション部門講演会(SI2023)

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公開日: 2024-12-25  

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