研究課題/領域番号 |
21K03985
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
秋田 時彦 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任上級研究員 (20564579)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 深層学習 / ミリ波レーダ / 半教師あり学習 / 能動学習 / 形状推定 / 駐車 / CNN / VAE |
研究実績の概要 |
自動運転の環境認識において、高精度な深層学習の利用は必要不可欠である。しかし、認識精度は学習データの質に大きく依存しており、学習された環境では高精度に認識できるが、学習データには無い環境では大きな誤りが発生することがある。これは安全性が重要な自動運転には致命的であり、必ず抑止しなければならない。本研究では、この未学習データに対して致命的な誤りを抑制し、認識精度を向上することを目的とする。先ず、耐環境性が最も高いミリ波レーダを用いた環境認識を対象として研究を行っている。その中でも特に、分解能が低くノイズが多い特性から車両などの検出対象物の高精度な形状推定は難しく、これを研究対象とした。 未学習データに対する駐車車両の形状復元精度を向上するために、半教師あり学習手法を創出した。これは、少量の教師付き学習データと大量の教師なしデータを用いて精度向上を図るものである。仮想正解値生成と一貫性正則化の手法を組合せて実現した。仮想正解値の生成には、VAEによる自己教師あり学習を用いる方法と、推定形状の正解形状モデルとの整合性から判定する方法を組合せた。一貫性正則化は、レーダマップにランダムな矩形ノイズを印加して生成した複数枚のマップ入力に対して同一の正解値にて学習する方法を構築した。これにより、1/4の教師データで同等の精度が得られることを確認した。また、同様にVAEを用いて教師データと違いが大きいデータと推定出力との不整合が大きいデータから優先的に正解値を付与する能動学習手法を構築し、1/2程度の正解値データで同等の精度が得られることを確認した。 前年度に創出したVAEによる教師データとの類似度に応じた推定形状モデルの補正手法と確率的信頼度推定手法について、学会発表し、論文掲載受理され公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、自動運転の実現に寄与する、未学習データに対しても高精度に認識を行うことができる環境認識アルゴリズムの創出で、難易度の高い挑戦的研究である。 当初の言語モデルを用いた膨大なデータによる推定精度を向上する手法については、膨大なデータを自動収集することが著作権などで難しいこともあり、方向性を修正した。少量の教師付きデータを有効に活用した半教師あり学習の新規手法を、ミリ波レーダの反射マップからの駐車車両形状推定に対して初めて実現し、実環境データを用いて定量的にその有効性を確認した。同様に新規の能動学習手法を創出し、実環境データにて効果を確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
創出した教師データとの整合性を活用した推定結果修正手法および半教師あり学習手法、能動学習手法の改良および検証を進める。これと並行して、当初の言語モデルのTransformerを用いた画像に対する転移学習の手法についても新規手法の検討を進める。さらに、大規模データの自動取得方法の可能性についても模索していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた高性能計算機は導入したが、実環境データ収集のためのセンサシステム導入は既存システムと別プロジェクトのシステムを流用することで節約したために使用額が低減できた。その分を翌年分に回し、理論検討強化と実験データ処理のための研究者雇用に当てる予定である。
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